第16話 闇の中に潜む敵

シグヴァード、タイラー、ソルスティス大魔導師は、パン・ウィンドライダーにかけられた呪いの謎を解明するために、さらに調査を進めることを決意した。彼らはまず、パン・ウィンドライダーが最近接触していた人物たちを洗い出し、その中から魔法に詳しい者を絞り込んでいった。


ある日、重要な手がかりを得るために、シグヴァードたちはパン・ウィンドライダーの旧友であり、高名な魔術師であるロガン・シャドウウィスパーの元を訪ねた。ロガンは、かつて闇の魔法を研究していたが、今はその知識を生かして人々を助けていた。彼はパン・ウィンドライダーと定期的に会っていたが、彼の死については何も知らないと言った。


しかし、ロガンの屋敷での滞在中、彼らは不審な影を感じた。ある夜、シグヴァードたちが休んでいると、屋敷の外から突然の悲鳴が響いた。彼らが駆けつけると、ロガンの護衛たちが次々と倒れていた。犯人は「闇害魔法」を使い、護衛たちの心臓や重要な内臓を一瞬で引き抜いていたのだった。


シグヴァードは剣を抜き、周囲を警戒しながら言った。「犯人はまだ近くにいる。慎重に行動しよう。」


タイラーは周囲を見渡しながら、「こんな残虐な魔法を使う者は限られている。これはただの盗賊や暗殺者ではない、何かもっと深い意図がある」と言った。


ソルスティス大魔導師は目を閉じ、魔法の探知を開始した。「この魔法の痕跡を辿れば、犯人の正体がわかるかもしれない。」


その瞬間、暗闇の中から冷たい笑い声が聞こえた。「見つけられるものなら見つけてみろ。お前たちの命も長くはない。」


シグヴァードたちはその声の主を追いかけたが、犯人は巧妙に隠れており、簡単には見つからなかった。ソルスティスは魔法の力を最大限に活用し、犯人の痕跡を辿り始めた。やがて、彼らは屋敷の地下にある隠し部屋にたどり着いた。


その部屋の中には、奇怪な魔法陣と多くの魔法具が並べられていた。そして、その中心にはロガン・シャドウウィスパーが倒れていた。彼は重傷を負っていたが、まだ息があった。シグヴァードは急いで彼に駆け寄り、「何があったんだ?誰がこんなことを?」と尋ねた。


ロガンは苦しそうに息をしながら、「これは…私の過去の過ちの報いだ。かつて私が教えた弟子が、闇の魔法に囚われてしまった。彼の名は、ダミアン・ナイトフォール…彼がこの呪いと殺人の犯人だ」と言った。


タイラーは驚きの声を上げ、「ダミアン・ナイトフォール…闇の魔法使いとして悪名高い存在だ。彼が全ての黒幕だったのか」と言った。


ソルスティスは深く頷き、「ダミアンは非常に危険な魔法使いだ。彼を止めるには我々の全力が必要だ」と言った。


シグヴァード、タイラー、ソルスティス大魔導師は、ダミアン・ナイトフォールを追跡し、ロガンの屋敷を後にした三人は、ダミアンを追跡する手がかりを得るため、さらに調査を進めることを決意した。


シグヴァードは歩きながら言った。「ダミアン・ナイトフォールの次の動きを予測するのは難しいが、彼が何を求めているのかを考えれば手がかりが見つかるかもしれない。」


タイラーは頷き、「彼が使った魔法は非常に特異なものだ。彼の目的は単なる殺戮ではないはずだ。もっと深い理由があるに違いない」と言った。


ソルスティス大魔導師は目を細め、「ダミアンが求めるもの、それはおそらく強力な魔法の力だろう。彼がこのような手段に出たのは、何かを手に入れるための布石に過ぎないのかもしれない」と述べた。


シグヴァードは深く考え込んだ。「彼が次に現れる場所を特定するには、彼の過去と動機をもっと掘り下げる必要がある。我々が知っていることを元にして、彼の行動パターンを分析しよう。」


タイラーは手元の地図を広げ、「彼の行動範囲を絞り込むためには、彼が過去に関わった事件や場所を調査するのが良いだろう」と提案した。


ソルスティスは魔法の杖を軽く振り、「ダミアンは闇の魔法に傾倒しているが、それだけではない。彼はある目的のために動いている。我々がその目的を突き止めれば、彼を止める手がかりが見つかるはずだ」と言った。


その瞬間、彼らの前に突然現れた闇の影が、冷たい声で囁いた。「お前たちは無駄な努力をしている。ダミアンの計画はすでに動き出しているのだ。」


シグヴァードは即座に剣を構え、「誰だ、姿を見せろ!」と叫んだ。


影は笑い声を響かせ、「私はただの使者だ。だが、お前たちには何もできないだろう。ダミアンの力はすでに手の届かないところにあるのだから」と言い残し、闇の中に消え去った。


タイラーは歯ぎしりしながら、「あの使者の言葉が本当なら、我々には時間がない。我々は急がねばならない」と言った。


ソルスティスは冷静に頷き、「その通りだ。我々の知識と力を総動員して、ダミアンの計画を阻止しなければならない。さあ、急ごう」と言った。

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