魔法伝説一驚きの旅路

第8話 森

夜が更けると、月光が深い森を優しく照らしていた。魔法の力が静かに息づくこの世界では、人々はその恩恵と脅威を等しく受けていた。

エリアス・ハーケンは、仲間たちと共にキャンプを張っていた。彼らは帝国軍に捕らえられた兄弟を救出するため、闇の森を越えて旅を続けていた。エリアスは賢者として知られ、その知識と魔法の力で仲間たちを導いていた。

「私たちの目的地は近い。皆、準備を整えてくれ。」エリアスは仲間たちに告げた。

夜が更け、キャンプの火が暖かく揺れていると、仲間たちは夕食を囲んでいた。エリアスは地図を広げ、次の行動を確認していたが、突然、森の奥から奇妙な音が聞こえてきた。

「キャハハハハ！」

その笑い声は、森の静寂を破り、仲間たちは驚いて顔を見合わせた。マーカスが眉をひそめて言った。

「今のは何だ？」

リディアは笑いを堪えきれずに言った。「まるでおばけが笑っているみたいね。」

「おばけなんているわけないさ！」ウィルフリッドは、腰に手を当てて大笑いした。「おそらくただの風の音だろう。」

エリアスは立ち上がり、慎重に音の出所を探ろうとした。「ちょっと見に行ってみよう。何か危険があるかもしれない。」

マーカスとリディアも後に続いた。森の中に進むと、再び笑い声が聞こえてきた。

「キャハハハハ！」

エリアスは魔法の杖を握りしめ、周囲を見回した。「誰かいるのか？姿を見せろ！」

その時、突然、小さな妖精が葉の陰から現れた。彼女は小さな羽を広げて笑い続けていた。

「ごめんなさい、ごめんなさい。皆さんを驚かせるつもりはなかったのです。」妖精は笑いを抑えながら言った。「ただ、あなたたちの真剣な顔があまりにも面白かったので。」

エリアスは少し驚いたが、妖精の無害そうな姿に安心した。「君は一体誰なんだ？」

「私はティティア。この森の守護者です。」ティティアはにっこり笑って答えた。「あなたたちは誰なのですか？」

エリアスは簡単に自己紹介をした後、彼らの目的を説明した。「私たちは兄弟を救出するために旅をしているんだ。君は何か助けてくれることはあるかい？」

ティティアは考え込んだ後、頷いた。「そうですね、この森を通り抜けるにはいくつかの罠があります。でも、私の魔法でその罠を無効化することができます。どうでしょうか？」

「それは助かる。」エリアスは感謝の意を示した。「ぜひお願いしたい。」

ティティアの案内で、仲間たちは森の奥へと進んだ。彼女は笑いながら魔法を使い、隠された罠を次々と無効化していった。

「ここには足元に仕掛けられた網があります。」ティティアは指をパチンと鳴らし、網を消し去った。「そして、こちらには偽の道標があります。それも消しておきましょう。」

エリアスと仲間たちはティティアの助けで順調に進んでいたが、突然、ティティアが足を止めた。「待ってください。ここには特別な罠があります。慎重に進んでください。」

ティティアの警告を聞いたエリアスは慎重に前に進んだ。彼が一歩踏み出すと、突然、地面が崩れ落ち、大きな穴が現れた。

「うわっ！」エリアスは咄嗟に反応し、魔法で自分を浮かせた。「危なかった。」

ティティアは笑いを堪えながら言った。「その罠は特に危険です。気をつけてくださいね。」

ティティアの助けで、エリアスと仲間たちは無事に森を抜けることができた。キャンプに戻ると、エリアスは感謝の意を込めてティティアに言った。

「君のおかげで無事に進むことができた。本当にありがとう、ティティア。」

ティティアは微笑みながら答えた。「あなたたちは面白い人たちですね。私もあなたたちの冒険に加わってみたいと思います。」

「それは心強い。君の力があれば、どんな困難も乗り越えられるだろう。」エリアスはティティアを歓迎した。