混沌 ~正体不明の僕と彼女の無意味な茶番劇~
サニディン
1_20170601執筆分
静寂は一瞬にして打ち破られた。
あちらこちらから火の手が上がる。
逃げ惑う人々。叫び声や、悲嘆とも苦痛を訴えているとも知れぬ呻き声。
僕は火に向かって叫ぶ。
君が好きだ。
炎は払われ、人々は安堵のため息をつく。
僕は一人、焼け野原のようになった都市を歩く
小さな女の子がいた。
こっちこっち、とその子が僕の手を引いて走り出す。
やがて、マンホールの前に着いた。
友達がこの中に入って出てこないの、とその子が言う。
僕は、この子の言う友達というのは、ひょっとすると僕の探している彼女の妹のことかもしれないと直感で感じる。
女の子にここで待っているように言ってから、僕はマンホールの蓋を開け、かかっている梯子(はしご)を降りていく。
地上から離れるにつれ、徐々に暗闇が周囲を満たす。
この梯子はどこまで続いているのだろう。果てしなく感じるほどの時間が経ち、段々と不安が僕の胸に広がっていく。
もう足が疲れた。そう感じた時、足が地面に付いた。
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