めちゃめちゃ短い小説たち

てゆ

第一作

 少しくすんだ白いキャミソールの紐を、高い壺を覆う布を取り払うみたいに、優しく肩から外す。微かに赤みを帯び、震えている肩にそっとキスをした。

 子供の幼い仕草を笑うように、「ふふっ」とあなたは微笑んだ。

「ごめんなさい、慣れていなくて」

「いいのよ。そもそも、こんなのに慣れたって、何も得しないから」

 そんな風に言い捨てたけど、あなたの顔はとても満足そうで、僕は「体は正直」って本当なんだなと、再確認した。

「お互い、今日は無礼講ですよ」

 急に敬語で言われると、僕たちがただの生徒と先生だったあの頃に、戻ったような気持ちになる。

「わかってますよ。何しろ初めてですから、敬意を払う余裕なんてないので、無礼講じゃなきゃ困ります」

 初めてという言葉を言うと、あなたはやけに幸せそうな顔をする。こんなあなたの一面を初めて知った人が、僕でありますように。あなたと大して変わらないことを思いながら、僕たちは火照った体を重ね合わせた。

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