文通未満

南瓜

1話完結(ショートストーリー)



溜まるインク筆先が


乾くまでを繰り返す


肩越しに揺れる毛先


同じバス停雨の君へ


手渡す手紙二文字の拝復が

時に

褪せぬようしたためたふみ


梅雨の中休み

今日も晴れて


バス停には

一人のはずなのに

晴れたのに


似た香り

跳ねた毛先揺らすのは

雨の日の






バス停で雨に降られた日のことで

手持ちの傘を探っていた時に

半分どうぞって差し出してくれて

お互いに肩半分傘から出しながら


バス待ち


私の地域はバスは一時間に二本程

それしか走らなくてあちゃーって

なんか気まずいって思ってたんだ

それなのに一人隣で本読んでるの


でもね



横目に見てみたらさ私も好きな本

だったんだ

それから作者さんの話互いの考察

なんかを話してて来ちゃったんだ


バス


その時もあちゃーってね思ったの

それから雨の日はバスって聞いて

だから


それから雨の日はさ来るかなとか

気になってて

次は私が考察を渡す番だから特に


だけど





今日に限ってさ晴れちゃったんだ

置いてきた傘も出番はありません


その一点張り


それ

なのにさ


走って来るじゃん

寝癖も跳ねたまま


手紙

持って来てて


よかったって

思う


でもまだ

気がつかない


そんな


ふり



end


ありがとうございました。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

文通未満 南瓜 @8kabocyabatake8

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ