第4話 異世界コンビニの店長が中学生(※美少年)だったらどうする?

「いらっしゃいませーっ!」


「へ……?」


 洞窟を抜けるとそこは……


 コンビニだった。


 中学生くらいの男の子――


 ふさふさした黒髪、パーカーにベージュのエプロンと、下はハーフのスパッツ――


 いかにも美少年って感じだが、この子はいったい誰なんだ?


 そもそもなんでこんなところ、仮にも異世界にコンビニが?


 そしてその子は、俺のことを見つめながら、じわじわと涙目になっていった。


「あの……」


「え、え? どうしたの、君? 泣いてるけど、ここはいったい……」


「ぼくを守ってください!」


 へ……?


「こわいお客さんが、お酒をよこせと、ぼくをいじめるんです!」


「え、ど、どういうことかな?」


「ああ、またあいつらが来たらどうしよう……だからお願い、おじさん、ぼくを守ってよ!」


 おじさんと言われるのは気にさわるが、それはともかく、事態がまったくのみこめないぞ。


 ここはひとつ、冷静になってもらわないと。


「あの、失礼だけど、君はいったい誰で、どうしてこんなところにいるのかな?」


 男の子はハッとしたような顔になって、少しずつ、話しはじめた。


「ぼくの名前は沖田瞬也おきた しゅんや、日本の中学生です。よくわからないけど、学校の帰りにコンビニに寄ったら、そのコンビニごと、ここに転移しちゃったみたいなんです……」


 うん、よくわからない。


 だがまあ、俺と似たような状況には違いない。


 異世界転移の仕組みなんて、もちろんわからないが。


「せっかくだから、ここでコンビニごっこをやってみようとしたんです。でも、奇妙な言葉を話す、こわい人たちが襲ってきて、ぼく、もう、こわくてこわくて……」


 ぶっとんでるな。


 どうすればコンビニごと転移して、コンビニをはじめようだなんて思うんだ?


 しかも失礼だけど、こんな若い少年が。


 まあ、行動力がある、ということなんだろうけど。


「その、こわい人たち、というのは?」


「それは――」


 ぴんぽーん


「ああ、きたあっ!」


 なんと、言ってるそばから!


 いったいどんなやつらなんだ?


 筋骨隆々きんこつりゅうりゅうのアンちゃんとか、やばい武器を持ったやつとか……


 いや、ここは異世界なんだから、バカでかいモンスターだってこともある。


 いずれにせよ、俺なんかにこの子を守れるのか?


サゲっこよごへでゃあ~お酒をよこしなさい


 ああ、なるほど……


 この、バカども・・・・だったのね。

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