第18話父、しゃべる、しゃべる

 いや~、今日の父、しゃべる、しゃべる。酒を飲みつつ、つまみをちょこっと食べて、語る、語る。警察時代の変な部下の話や、威張っていた上司と喧嘩した話、はたまた、母と結婚してすぐに母の実家に挨拶に行ったときの話。

 まぁ、80年以上生きてれば、それだけ語ることもあるだろう。

 今日の最後には母について語っていた。母、若い頃、かなり苦労した人だったので、せめて老後は穏やかに過ごさせてあげたかったと、父、しきりに言う。

 父、どうも特養にあまりいいイメージを持っていないらしく、母がかわいそうだという。まぁ、そうかもしれないが、母に面会に行くと、いつもニコニコして楽しいと言っているので、私はそんなに施設に母を預けたことを、後悔していない。

 むしろ、もう我々家族のことを、あまり気にしていない風に思える。それはそれでいいと思う。母が新しい環境で楽しく過ごせるのであれば、それでいい。

 父、やはり独りで生活するのが、さみしいのだろう。私が実家に来ると、まぁ、よくしゃべる。でも、それはとてもいいことだと思う。

 楽しく話して、楽しくお酒を飲んで、楽しく食事する。そしてぐっすり眠って、また次の日を迎える。それが一番だ。

 父、今はいびきをかいて、ぐっすりと眠っている。長い時間、父の話し相手になったので、私もちょっと疲れた。今日は早めに布団に入るとするかな。

 とてもいい一日でした。

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