プレイ13:フレンド登録

「何だかんだで、良い買い物をしたな」


防具屋を出た後、ユキくんとアップルちゃんと一緒に街中を歩きながら、そう呟く俺。


まさか、あのデカい蝶がこんな綺麗な装備になるとは....驚きだな。


ていうか


「さっき以上に見られているような......?」


この装備、何気に派手だもんなぁ.....


そんなことを思いながら、歩いていると


「あ、あの....ハチさん、少しいいですか?」


突然、ユキくんに話しかけられた。


「ん?どうかしたのか?」


俺がそう言うと.......ユキくんは、とても緊張した様子でこう言った


「そ、その.....僕達とフレンドになってくれませんか!!」


フレンド。


それは、【ユートピア・オンライン】の機能の一つで、ゲーム内で友達になりたいプレイヤーがいた場合、フレンド登録をすることによって、そのプレイヤーとフレンドになることが出来るのだ。


「だ、ダメですよね.....?」


ユキくんの言葉を聞き、フレンド登録をするかどうかで考えている俺を見て、ダメだと思ったのか、ショボンとした様子でそう言うアップルちゃん。


「あ、いや、ダメじゃないよ!!ただ....」

「「ただ?」」

「俺なんかがフレンドになっていいのかなって思っただけだ」


俺がそう言うと、ユキくんとアップルちゃんは顔を見合わせた後、俺の方に向き


「「そんなことはないです!!」」


と叫んだ。


二人のその顔はとても真剣で


「私達、まだこのゲームを始めたばっかりなんですけど....私達はハチさんの強さとかじゃなくて、ハチさんの人柄に惹かれたんです!!」

「アップルの言う通り、僕達は純粋にハチさんとフレンドになりたいんです!!」


俺に向け、そう熱弁していた。


.......俺の人柄に惹かれた、か。


「まぁ、これも何かの縁だしな」


俺がそう呟くと、ユキくんとアップルちゃんの表情が輝いたのは、言うまでもない。


「よかったね、ユキ」

「うん!!」


アップルちゃんの言葉に対し、そう言うユキくん。


.......何か可愛いな。


「じゃあ、フレンド登録の申請を出しますね!!」


そう言った後、画面を操作するユキくんとアップルちゃん。


その数秒後.....俺の目の前に現れたのは、フレンド登録の画面で、俺はその画面のボタンを押し、フレンド登録を承認するのだった。


「これで、俺達はフレンドだな」


ニコッと笑いながら、俺がそう言うと


「「はい!!」」


ユキくんとアップルちゃんは、嬉しそうにそう言った。


うんうん、若い子の笑顔っていいな。


「あ、そうだ!!もうすぐ【ユートピア・オンライン】でイベントが行われるらしいですよ!!」

「マジで!?」


【ユートピア・オンライン】で.....イベントだとぉ!?


「確か、バトルロワイヤル系のイベントだったはずだよね?」


ユキくんの言葉に対し、そう尋ねるアップルちゃん。


バトルロワイヤルかぁ......


「.....実力を試すには、ちょうど良さそうかもな」


ユキくんの言葉を思い出しながら、小声でそう呟く俺。


と、その時、アップルちゃんは何かを思い出したのか、ハッとした顔になると......行きに向けて、こう言った。


「ねぇユキ、もうすぐ時間じゃない?」


その言葉を聞いたユキくんは、アップルちゃんと同じく、ハッとした顔になると


「ヤバッ!?」


慌てた様子で、そう叫んだ。


「....もしかして、ゲームを遊ぶ時間的なものが決まってるのか?」


俺がそう言うと、慌てているユキくんを尻目に、アップルちゃんがこう答えた。


「ユキは、集中すると周りが見えなくなるタイプなんです。だから、このゲームを買う時に遊ぶ時間を決めていたらしくって.....」

「あ〜」


なるほど......ユキくんは熱中すると周りのことを忘れるタイプだったのか。


「ハチさん!!僕とフレンド登録してくれて、ありがとうございます!!」


そう言った後、ユキくんはログアウトしたのか、光の粒子となって消えた。


その姿を見送ったアップルちゃんは


「それじゃあ、私もこれで.....」


と言った後、ログアウトした。


「さてと、俺もログアウトしますかね」


初ボスバトルに初フレンド、中々良い感じだな。


そう思いながら、俺はログアウトするのだった。

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