異世界で物理最強のおっさんと無限魔力の少年!ハーレム王国と治療の伝説。物理で殴って、魔法で駆逐する冒険記

UFOのソース味

第1話 新たなる旅立ち

風間剛は建設現場での忙しい一日を終えようとしていた。彼の体は疲れていたが、充実感に満ちている。午後の太陽が傾き、作業を終えた仲間たちが次々に帰り支度を始める中、剛は最後の確認作業を行っていた。


「剛さん、今日もご苦労さん。先に帰るぜ!」同僚の一人が声をかける。


「おう、気を付けて帰れよ。」


剛は手を振り返しながら、現場の工具や材料が片付けられていることを確認する。彼は現場監督として、責任感が強く、細かいところまで目を配るタイプだった。


その日も、家に帰るとアパートの小さな部屋が待っていた。剛は独身で、部屋には最低限の家具しかない。彼はシャワーを浴びてから、冷蔵庫からビールを取り出し、一息つくのが日課だった。


「今日も無事に終わったな。」剛は缶ビールを開け、テレビのニュースを眺めながら独り言を呟いた。家には誰もおらず、静寂が広がる。仕事仲間とは現場での関係が主であり、仕事終わりに飲みに行ったり、遊びにいったりするわけではない。私生活では孤独だった。


その時、突然、ブレーカーが落ちたのかのように部屋全体が真っ暗になる。窓から入ってきていた光もない。剛は慌ててベランダに出て空を見上げると、黒い雲が不気味に渦巻いているのが見えた。


「なんだ、これは…?」


周囲を見渡すと、通りを歩いていた人たちも異変に気付いている様子だった。その時、剛の足元から眩しい光が広がり、彼の身体を包み込んだ。目の前が白くなり、意識を失う前に、剛は最後の力を振り絞って叫んだ。


「なんで、こんな…!」


同じ時、孤児院で過ごしていた天城空も、不思議な現象に巻き込まれていた。彼は庭でひとり考え事をしていたが、突然の異変に驚き、周囲を見渡した。


「え?何が起こっているの?」


空は孤児院の狭い庭で、花壇の世話をしていた。彼にとって、この時間は唯一の心の安らぎの瞬間だった。孤児院の生活は厳しく、他の子供たちとの関係もあまり良くなかったため、空は自然と一人でいることが多かった。


空の部屋は小さく、壁には数枚のポスターが貼られていた。机の上には古い本が積み重なり、その横には彼が大切にしている日記が置かれている。日記には彼の感じたことや考えたことが細かく書かれており、空にとっては心の拠り所だった。


「今日も一人か…」空は小さな声で呟きながら、花壇の水やりを続けた。孤児院の中では、誰もが自分の問題で精一杯であり、空にかまう余裕のある人はほとんどいなかった。


空の手が土をいじっていると、ふと、空が暗くなるのを感じた。顔を上げると、黒い雲が異様な速さで広がっているのが見えた。


「何だこれ…?」


空が驚く間もなく、彼の周囲に強烈な光が現れ、身体を異世界へと引き込んだ。目の前が白くなり、意識を失う前に、空は小さな声で呟いた。


「どうして…僕が…?」


剛が目を開けると、目の前には見たこともない景色が広がっていた。空は澄み渡り、見上げれば巨大な樹木が天高くそびえ立っている。周囲には美しい花々が咲き乱れ、鳥たちがさえずる音が心地よく響く。まるで夢のような風景だった。


「ここは…どこだ?」


剛はゆっくりと立ち上がり、周囲を見渡す。足元には柔らかい苔が広がり、一歩一歩が心地よい感触を伝える。遠くには川のせせらぎが聞こえ、風が木々を揺らしている。剛はしばらくその場に立ち尽くし、異様な静けさと美しさに圧倒された。


剛の格好は作業着姿のままだった。作業用の青いジャケットとズボンには泥や汗の跡がついている。彼の体は筋肉質で、日焼けした肌がたくましい印象を与える。短髪で黒い髪は少し乱れているが、その目は鋭く周囲を見渡していた。


ふと、近くに倒れている少年に気付く。「大丈夫か?」剛は急いで少年の元に駆け寄り、彼を揺り動かす。


天城空も同じく目を覚ました。目に映るのは、見知らぬ森の光景だった。空は周囲を見渡し、信じられない思いで立ち上がった。


「あなたは…?」


「俺は風間剛。ここがどこか分からないが、とにかく一緒に行動しよう。君の名前は?」


「僕は天城空。何が起こったのか全然分からないけど…」


空の格好は孤児院の制服だった。白いシャツに黒いズボン、そして薄汚れたスニーカー。シャツの袖は少し短くなり、裾は少しほつれている。彼の髪は茶色で肩までの長さがあり、少しぼさぼさになっていた。青い目が驚きと不安で大きく見開かれている。


二人は自己紹介を済ませると、森の中を進み始めた。状況を把握するため、慎重に歩を進める。


突然、森の奥から不気味な音が聞こえてきた。大きな足音と共に、木々が揺れ動き、異様な雰囲気が漂う。二人は音のする方向に目を向けた。


そこに現れたのは、巨大なモンスターだった。体長は10メートルを超え、全身が黒い鱗で覆われている。その鱗は光を反射し、まるで刃物のように鋭く見えた。頭部には二本の角が突き出し、目は深紅に輝いている。口からは毒々しい唾液が垂れ、鋭い牙が見え隠れしている。四肢は筋肉質で、鋭い爪が地面を引き裂いている。


「気を付けろ!」剛が叫び、空を守るために前に立つ。剛は自らの力を信じて、モンスターに立ち向かう。


剛は拳を握りしめ、全力でモンスターに向かって突撃し殴りつける。その拳はまるで岩を砕くかのような威力を持ち深いダメージを与える。鱗が砕け、血が飛び散る。


「これでどうだ!」


しかし、モンスターはまだ立ち上がり、攻撃を続けようとする。


「このままじゃやられる…!」


空が焦る中、自分の内に眠る力を感じる。


「何か…何かできるはず…!」


空は手を広げ、強力な光の魔法を放つ。その光はモンスターを包み込み、瞬時に消し去る。光は森全体を照らし、その眩しさに一瞬目を細めるほどだった。モンスターの体は光に焼かれ、肉が崩れ、骨が露わになる。モンスターの断末魔の叫びが森に響き渡り、その巨大な体が崩れ落ちると、地面に巨大な血の池が広がった。


「すごい…これが僕の力…?」空は手を見つめ、信じられない様子だった。


剛が息を整えながらも警戒を解かない。


「いいぞ、空。だが、気を抜くな。まだ何が起こるかわからない。」


その夜、二人は焚き火を囲みながら、異世界での自分たちの力について話し合う。


「剛さん、あんな化け物をどうして平気で立ち向かえるんですか?」空が問いかける。


剛は少し考え込む。「俺は昔から体を鍛えてきた。それに、ここに来てから力が増した気がする。この世界の影響かもしれないな。」


「異世界…この場所が僕たちに力を与えたのかも。」空が呟く。


「かもしれないが、これがどんな意味を持つのかは分からない。俺たちがこの力をどう使うかで、この世界の未来が決まるのかもしれない。」


焚き火の炎を見つめながら、互いに沈黙を守った。彼らはまだ完全に信頼し合っているわけではなかったが、共にこの未知の世界で生き延びるために協力する必要があることは理解していた。


その時、突然一人の老人が木陰から現れた。老人の姿はまるで古代の神話から出てきたかのようで、長い白髪と白いひげが風に揺れている。深緑色のローブをまとい、そのローブには金色の刺繍が施されている。彼の目は深い青色で、知恵と慈愛が感じられる。


剛と空は驚きながらも警戒を解かない。剛はすぐに構えを取り、空も魔力を込めた手を準備したままだ。


「お前たちが新たなる勇者か。この異世界には特別な力が流れておる。その力はお前たちの内に秘められた才能と融合し、驚異的な力を与えたのだ。」老人は穏やかに語るが、二人の警戒心は解けない。


「どうして俺たちがそんな力を持つことになったんだ?お前は誰だ?」剛が厳しい口調で問いかける。


老人は微笑みながら答える。「私はこの森の精霊であり、この世界の守護者だ。お前たちがこの世界に来たのは運命によるものだ。」


「運命って…そんなこと、簡単には信じられない。」空が疑わしげに言う。「何かの罠かもしれない。」


「お前たちの疑念は理解できる。しかし、この力をどう使うかはお前たち次第だ。私はただ、その道を示す者である。」老人は静かに答える。


剛は老人の言葉を聞きながらも、完全には納得していない。「信じろと言われても、証拠がない限り簡単には信じられない。俺たちはただの駒にされるつもりはない。」


「そうだね。」空も同意する。


「僕たちは自分たちの目で確かめて、信じられるものを見つけるつもりだ。」


老人はその言葉に鷹揚に頷く。


「それで良い。お前たちの判断を信じるが良い。私はただ、お前たちの力を覚醒させる助けをしたまでだ。」


剛と空はお互いに視線を交わし、慎重に頷く。老人の言葉を完全に信じるわけではないが、少なくとも彼の情報は無視できないと感じた。


「まあ、これから先は自分たちで判断するしかないな。」剛が決意を固めたように言う。


「そうだね、僕たちで道を切り開こう。」空も同意する。

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