蜻蛉日記 ある女の一生
@masayo-i
序文
ここに一人の女がいる。これまで多くのことを思い悩んで過ぎてきた半生を思い返してみると、どっちつかずの何者でもない自分を思い知らされてしまう。容姿が美しいわけでなく、何かの才能があるわけでもないから当然と言えば当然だけれど、世の中の役にも立たずにただ寝ては起きてを繰り返すだけの人生だった。暇に任せて近くにある古物語なんかを読んで退屈を紛らそうとするけれど、どれもこれも嘘ばかり書いてあって虚しい。大した人間でもないけれどもし私の身に起こったことを正直に書いてみたら、どんなにか珍しい読み物になるかしらと筆をとってみた。物語には多くの貴婦人が登場するけれど、高貴な身分の夫を持った私が実際どんな暮らしをしているのかを書いたら、いい実例になるかもしれない。ただ、だいぶ長い月日が経ってしまったので、記憶が曖昧になって不確かなことが多くなってしまった。
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