6 FRUSTRATION
「さてと、目的のブツは買ったし、問題はどこで決行するかだが、、、」
死ぬ前に最後の晩餐として、フードコートに行ってなんか食べるかと思った矢先、なにかが凄い勢いで近付いてくる悪寒を感じ、わたしが振り向いた瞬間ーー
ドォン!!
いきなりの衝撃に、わたしはその場にブっ倒れてしまった。
なんとか起き上がり、周囲を見ると小学校高学年くらいの男の子が倒れていて、傍らにはわたしがさっき買った本。
「あっ、あっ、あっ、ごめんなさい!!ボク、急いでてっ!」
どうやらこいつが突っ走ってきたのを、わたしが考え事をしていたからか避けきれずぶつかってしまったらしい。わたしはそそくさと、紙袋に入った本を拾い「デパートの中じゃ走っちゃダメだよ。ケガはしてない?」と少年に優しく声を掛けた。内心はムカついてるが、この程度でキレていたらアイドルなんか務まらない。
「はい!だいじょうぶです!ボ、ボクいきます!!」
乗り慣れない自転車みたいなフラフラとした挙動で、少年はどこかに向かって走っていった。
「デパートの中は走るなというのに、全然だいじょうぶじゃないやないか、、、」
まあ、これから長い人生が待っている子供のことを気にしてもしょうがない。わたしはわたしで、最後の晩餐といこうじゃないか。
お笑い枠とはいえ、そこはアイドル、体型維持のため好きなものもろくに食べれなかったし、最後くらいは好きなものを盛大に食べようではないか。
で、フードコート内にて、きす屋のチーズ牛丼メガ盛りを注文したわたし。
「うーん、このバカ丸出しのこってり感!最高だな!」
ーーと、孤独のグルメよろしく食レポをかましていたのだったが、さて、どこで死のうか、場所をいいかげんに決めないとと、テーブルに置いてあったスマホに手を伸ばした瞬間、
「あっ」
反対側にあった本が肘に当たり、落っこちてしまった。紙袋を止めていたセロハンテープが剥がれ、中身が飛び出してしまっている。
「あーもう、汚れちゃったらわたしの最後を飾るアイテムとしての、、、あ、、れ、、?」
紙袋から飛び出した本には、こんなタイトルが書かれていた。
『のぐそドリルークソみたいにバカなきみも頭がよくなる!ー』
「ーークソがっ!!」
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