4 エキセントリック
そんなわけで今日の予定は全て白紙に。
どうしてやろうか。
死のう。
メンヘラ軍団に振り回されながら、頑張った末に待ち受けていたのが、捏造スキャンダルでアイドル人生終了とか最低じゃないですか。
こうなったら週刊醜聞を呪いに呪って、自殺してやる。せいぜい世間から、ちくわを自殺に追い込んだと叩かれるがいいさ。特級呪物ちくわちゃん、ここに爆誕!!
そうと決まれば、話ははやい。
自殺方法を考えよう。私は本棚から『完全自殺マニュアル』を取り出し(ちなみに隣には『腹腹時計』がある)、ページをパラパラとめくる。
ロープで首吊り。もっともメジャーな自殺方法ではあるが。わたしはロープを見ると、昔のトラウマを思い出す。
ある日の番組コント撮影の中でのひとコマ。
誘拐がテーマのコントで芸人演じる犯人に我ら青梅街道77のメンバーが、ロープで縛られるというシーンがあったのだが、テンションの上がった犯人がついには亀甲縛りをしてしまうというオチ。誰がその被害になるかというわけだが、普通の眉目秀麗なメンバーにやってもただ卑猥なだけでギャグにはならない。ちくわ体型のわたしが選ばれたのだった。「なんやこれ!ちくわがボンレスハムになっただけやん! ちょっとだけ高級になっただけやん! わいの費やした時間返してーな!」
「クソがっ!!」とわたしのお決まりの台詞でコント終了。このコントも当然切り抜き動画になって、関連検索ワードにボンレスハムが追加されたのだった。
ロープで首吊りは無しと、では他にどんな方法があるのだろう。
電車に飛び込みは、、、これも無しだ。人身事故で多数の人々に迷惑を掛け、鉄道会社から事務所に莫大な請求が来るような未来は避けたい。立つ鳥跡を濁さずだ。
とは言え、ただで死にたくない。
竹和未来という、アイドルがいたという事実を芸能史に残して死にたい。わたしという存在がいたということをみんなの記憶に刻み込んで死にたい。そのくらいのわがままは神様も許してくれるだろう。そんなんいるのか、知らんけど。
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