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未来のメッセージ。
物理キーボードを備えた箱型の機械がブーンと唸っていたので足を止めた。しばらく見ていると、そいつはわたしの名前が印刷された紙を吐き出した。
わたしはこいつに名前を教えていない。そもそも自分の名前を意識するなんて何ヶ月ぶりのことだろう。誰に呼ばれることもなく、自己紹介する相手もいない。一人なのだから。
不思議に思っていると、次は文章が印刷された紙が出てきた。
「これは わたし から わたし へ かこへのメッセージだ」
「わたしは みたとおりのメッセージを うちこんでいる」
「このメッセージをおくってから つぎに すすむ よいたびを」
わたしはこれらの文章を一言一句見たまま機械に入力した。これで同じ文章が過去のわたしに送られたのだろうか。
自分の名前を、過去の自分に送信する行為。忘れかけていた自分を思い出す儀式のようだった。
本当はもうひとつ、最後にある文章が送られていた。けれどそれは無視した。
私はその文章を受け取っているから、わたしがその文章をいずれ送信することは決まっている。つまりわたしがその文章を送信するまで、わたしは絶対に生きていることになる。
これは命の保証書だ。
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