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青い堀。幅十二メートル、長さ二十五メートル。深さは一・四メートルくらいか。堀の内部が青色なのが奇怪だ。塹壕にしては色が不自然だし、周囲に設置されている二メートルくらいの椅子も監視塔にしては低すぎる。側面にいくつか通気口のような穴と、昇降用のはしごがある。底面には何本か線が引かれており、細長く区分けされている。まったくもって用途不明。
意味はわからないが風を防げるのでここで休息をとる。
休憩していたら、側面の通気口から水が勢いよく噴き出してきた。わたしは身体が浸水する前になんとか抜け出すことができた。堀が目一杯に満たされたところで水位の上昇は止まった。この堀は貯水池だったのだろうか。
鼻をツンとつくようなにおいがしたので水は飲まなかった。悪臭ではなかったが、飲料水になるとは思えなかった。飲めそうなら拠点リストに載せたかった。
水が貯まるのをボサっと見て体力を回復したのですぐにここを発つ。
青い堀を出発してからすぐ、また甲高い子供の声が聞こえてきた。水音もする。
振り返っても人影はなかったが、子供の声は雲を突き抜けるように高く響き続けた。
うるせえよ。
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