第33話 ゴーレム

「今は何階層だ?」

 

 俺は横を歩くセレスに話しかける。

 

 現在、俺たちは数体の魔物を狩り終えて、約二時間ほど経過した。


 タイムリミットが7時間な為、少しずつペースを上げていかないといけない。

 

「今はおそらく6階層だ」

 

「なら順調に攻略できているな」

 

「ああ、だがここからは今までのように簡単には行かないかもしれない」

 

 セレスは難しい顔をしながらそう言う。


 それはもちろん俺もわかっている事だ。


 当たり前の事ながら、ダンジョンというものは階層が上がる事で難易度が上がっていく。

 

 最初は難なく進むことができているが、階層が上がっていくにつれて攻略の時間が掛かっていくだろう。


 俺はそう考えつつ、気を引き締めて歩いていると、リアが突然口を開く。

 

「さっきからループしてませんか?」

 

 リアはそんな質問をしてくる。


 確かに俺もおかしい部分があったことに気づく。


 さっきから同じ道を何度も通っている気がするのだ。

 

「ループになる原因は大体幻覚魔法が掛けられているか、ダンジョン内にある鉱石だろうな」

 

「ああ、だけど俺らに幻覚魔法はかけられていないから、これは後者の確率が高いか……」

 

 ダンジョン内には様々な鉱石が埋まっている。


 それらの鉱石には魔力が宿っており、魔力の影響でループする事がある。

 

「だが鉱石がこのダンジョン内にあったか? 俺は見ていないんだが」

 

俺はセレスに問う。


 するとセレスは難しい表情を浮かべ、ゆっくりと口を開いた。

 

「鉱石が近くに埋まっていないとなると……魔物に鉱石が埋め込まれているかもしれない」

 

魔物の中には鉱石を自分の意思で埋め込むことができる魔物が存在する。


 そいつは《ゴーレム》と呼ばれており、石でできた人形の魔物だ。


 奴は自分の体内に鉱石を埋め込み、それを武器として戦う事ができる。

 

「ゴーレムはS級指定の魔物です。戦うとなると非常に厄介かと」


冒険者であるクレハがそう忠告する。

 

ゴーレムはS級指定の魔物だ、安全を考えればこのダンジョンから出るべきである。

 

「だがここまで来たんだ、なんとかこのダンジョンを攻略するぞ」

 

「そうだな、相手が誰であろうと私たちは戦うだけだ」

 

セレスがやる気に満ちた顔でそう答える。


 するとクレハが突然、大声で叫ぶ。

 

「伏せて!」

 

俺たちはその声を聞き、咄嗟に地面に伏せる。


 すると俺の頭上を何かが通過した。

 

 俺はその物体が飛んでいった方を見る。


 するとそこには、1匹のゴーレムがいた。


 そのゴーレムは全長3メートルはある巨大な人形の化け物で、体には様々な鉱石ガ埋め込まれている。

 

(まさか、もうお出ましとはな)

 

俺はそう思いつつも立ち上がり、魔法を発動する準備をする。

 

「前衛は私とクレハに任せろ」

 

そう言ってセレスとクレハはゴーレムに向かって走り出し、同時に剣を振る。

 

だがゴーレムはその攻撃を、腕を使って防ぐ。

 

《ゴガァア!》

 

するとゴーレムは咆哮を上げ、その長い腕を振り回してくる。


 セレスとクレハは後ろに下がりながら、その攻撃を躱す。

 

「やはり今までの魔物とは格が違うようだな」

 

俺はそう言いながらも、援護するために魔法を発動させる。

 

《上級魔法 風刃》

 

俺が放った魔法により、風の斬撃がゴーレムを襲う。


するとゴーレムは腕でガードし、風の斬撃を防ぐ。


 やはりゴーレムだけあって、硬すぎるな。


 そう思っているとゴーレムから魔力が溢れ始めた。

 

《ジョ、ジョウ、キュウマホウ 風刃》

 

そして咆哮を上げながら、俺と同じ魔法を使ってくる。

 

その攻撃は俺とリア、セレス、そしてクレハを同時に襲い、全員が吹き飛ばされる。

 

「あ、あいつ、俺の魔法をコピーしたのか!」

 

俺はそう叫びつつ、立ち上がる。


 すると後ろからリアの治癒魔法がかけられる。

 

「最近覚えたばかりですが、これで治るはずです」

 

リアの治癒魔法により、俺らは全回復する。

 

「凄いじゃないかリア、いつのに治癒魔法まで覚えたんだ?」

 

セレスがそう質問すると、リアが嬉しそうに答える。

 

「ロランお兄様に教えて貰ったんです!」

 

確かにこの数日前、リアに治癒魔法を教えていた。


 だがここまで治癒魔法を使いこなせるとなると、リアはおそらく天才だろう。

 

俺はそう考えながらも、ゴーレムの方を向き戦闘準備をする。

 

『ゴガァァァァァァ!』

 

ゴーレムが咆哮を上げ、こちらに向かってくる。

 

《炎斬ッッッ!》

 

《雷光一閃ッッッ!》

 

するとクレハとセレスが同時に、斬撃を放つ。

 

その攻撃はゴーレムの体を斬り裂き、大きなダメージを与えているように見える。


 だがゴーレムはその傷を物ともせず、こちらに向かってくる。

 

(おかしいな、ダメージは通っているはずなんだが)

 

俺はゴーレムの動きに違和感を感じる。

 

確かに奴ら魔物は生物だ。


 だからダメージが入れば怯み、動きが止まる。


 だがこのゴーレムは怯みもせず、ただ俺たちに向かってきている。

 

「そういうことか」

 

俺は瞬時にゴーレムの正体に気づく。

 

そして俺は魔法を放つ準備をした。

 

《上級魔法 炎波ッッ!》

 

俺が放った炎波は、ゴーレムの鉱石に直撃する。


 するとその鉱石は綺麗に消滅し、体の一部にヒビができた。

 

「セレス、クレハ! ゴーレムに埋め込まれている鉱石を破壊すれば倒せるぞ!」

 

俺がそう叫ぶと、2人は頷きゴーレムの体に付いている鉱石を破壊しようと、剣を振るう。

 

《雷光一閃ッッ》

 

《炎斬ッッ!》

 

その斬撃はゴーレムの体に付いている鉱石を斬り裂き、その体を崩壊させる。

 

『ゴガァァァァ……』

 

ゴーレムは最後の力を振り絞って、腕を高々と振り上げる。

 

だがその攻撃が来る前に、俺の魔法が間に合う。

 

《上級魔法 絶炎》

 

俺の掌から放出された黒い炎の玉が、ゴーレムの体に直撃しその体を焼き尽くす。


 そしてそのままゴーレムは倒れ、灰となって消えていった。

 

俺はそれを確認すると、地面に座り込む。

 

「はぁ、なんとか倒せたな」

 

「流石はロランだな」

 

セレスが感心の声をあげ、こちらに寄ってくる。

 

「はは、なんとか倒せてよかった」

 

俺はそう言いながら、立ち上がりメンバーの様子を確認する。

 

「クレハさん! 今治癒魔法をかけますね!」

 

クレハはリアに回復魔法をかけてもらい、傷を治してもらっている。

 

「あ、ありがとう、リア」

 

クレハは恥ずかしそうにリアにお礼を言う。

 

「クレハの傷が治ったら、先へ進むか」

 

俺の言葉にみんな賛成する。


それから20分後、クレハの傷が癒え、ダンジョン攻略を再開するのだった。


―――



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