第26話 アデルと対戦
翌日の昼休み、学園の外では対戦魔法をする為の場所が作られている。
「よく来たな、ロラン」
俺とアデルは試合開始の場所に並ぶ。
この対戦魔法を観戦しにきた人の多さに、俺は少し驚いた。
アデルはかなりの人気らしく、観客の中にはアデルのファンや第二王子派の貴族達で溢れかえっている。
そんな人の集まっている前での対戦魔法なんて、少し緊張する。
それに加えて、セレス達も来ているし、何故かアリスも一緒にいる。
騎士団の隊長、学園の令嬢が、俺達の観戦をしようと集まっている。
(これは注目を浴びすぎてるな)
俺がそんなことを考えながら立っていると、教師が司会進行を始める。
『それでは、これからアデル殿下対ロラン殿下の対戦魔法を開始致します。技や魔法等あらゆる手段を使用して、相手を倒すか、または相手が降参する事で勝利となります。両者覚悟を決めなさい』
教師がそう言うと、アデルは自信たっぷりに言う。
「さてと、ここでボコボコにしてロランの評判を悪くしてやるよ」
「俺も約束通り本気でやってやる」
俺がそう言うとアデルは俺を睨みつけるが、すぐに不敵な笑みを浮かべる。
「ロランお兄様、頑張って下さい!」
俺の後ろの方からリアの応援が聞こえてくる。
クレハは横で静かに見守っており、俺を見つめている。
『それでは、開始!』
教師の合図と共に対戦魔法が開始される。
「まずは僕の実力を見せてやるよ、《中級魔法 フレイムバースト!》」
アデルは開始早々、中級魔法フレイムバーストを放つ。
その威力は凄まじく、地面が抉れ、砂埃で視界が悪くなる。
(流石だな、アデル)
俺はそう思いながらも、冷静に対処する。
《上級魔法 水柱!》
俺は上空に水柱を出現させる。
そして水柱を瞬時にコントロールし、フレイムバーストの炎を消化した。
それを見た観客は歓声を上げる。
(い、今のって上級魔法じゃない!?)
(学園でもまだ教えられてないのに……)
俺は観客の声が聞こえる中、アデルに向けて魔法を唱える。
《上級魔法 炎槍!》
俺は炎で出来た槍をアデルに飛ばす。
「く、くそ、《防御魔法 結界!》」
アデルは咄嗟に防御魔法を発動する。
だが俺の炎槍はアデルが発動させた結界を貫き、アデルに直撃した。
「ぐああああああ!!!」
アデルの叫び声が辺りに響く。
アデルは炎槍の直撃を受けて地面に倒れ伏す。
観客は静まり帰り、誰も言葉を発することが出来ない。
「もう降参でいいか、アデル」
俺がアデルに向かってそう言うと、アデルは俺を睨みつけながら言う。
「まだだ! 僕にはこれがある!」
アデルはそう言って鞘から剣を抜き取る。
「お前には一生使えない剣技、見せてやるよ」
アデルはそう言って俺に向かって剣を構える。
そして目にも留まらない速さで斬りかかってきた。
「はははは! これなら流石のお前も!」
「セレスの方がよっぽど早いな《防御魔法 結界》」
アデルが繰り出してきた剣技を俺は結界でガードする。
「な、なんで……」
アデルは俺が結界を張れると思っていなかったのか、驚きの表情を浮かべていた。
《上級魔法 炎嵐!》
俺はアデルに向かって炎で出来た嵐を放つ。
《中級魔法 水壁!》
アデルは咄嗟に水壁を発動して、炎嵐を防ごうとするが、俺の魔法の威力に押され、そのまま吹き飛んでいった。
「どうなってるんだよ! お前はそんなに強いはずがない! これは何かの間違いだ!」
アデルは俺に吹き飛ばされたことが信じられないのか、俺にそう言ってくる。
「別に、魔法書で魔法を覚えただけだ」
俺がそう答えるとアデルは怒りを露わにする。
「くそ、お前は無能なはずだろ! なんで、なんで!」
「もう勝負はついた。お前の負けだアデル」
俺がそう言うとアデルは荒い呼吸を繰り返しながら、俺に向かって言う。
「なら僕の全魔力でお前を潰す!」
アデルはそう言って剣に魔力を込め始める。
「さっきまでの魔法とは比べ物にならない威力だ。これをくらえば、どんな奴だって……!」
「そんなに凄い魔法なのか?」
「僕の全魔力を剣に込めたんだぞ! どんな奴でも、この剣の前では何も出来ない!」
アデルがそう自慢げに言う。
「そうか……なら俺も全魔力で相手してやるよ」
俺はアデルにそう言い放ち、魔力を全身に込めて発動する。
《上級魔法 絶炎》
俺の掌から発動された黒い炎の玉は、一直線にアデル方へ向かっていく。
「く、くそ! こんな所で負けてたまるか! 」
アデルはそう言いながら斬撃を放つ。
《破壊斬!》
アデルはそう叫び、俺の火玉に対抗すべく、自分の最高火力の斬撃を放つ。
だが俺の火玉はアデルの斬撃を飲み込み、そのままアデルに向かって襲いかかる。
「そこまで! アデル殿下の負けにより、ロラン殿下の勝ちと致します」
「おっと」
教師がそう叫ぶので、俺は慌てて魔法を止める。
するとアデルは膝から崩れ落ちる。
俺は勝ちを確信し、魔法を解く。
そうすると火の玉は魔力の粒子となり、空気に消えていく。
それを見た観客は盛り上がり、大歓声をあげる。
(ロラン様、かっこいい!)
(私、ロラン様のファンになっちゃった!)
俺は皆の声を聞き、少し恥ずかしくなる。
すると後ろから聞き覚えの声が聞こえてくる。
「ロランお兄様! 流石です! かっこよかったです!」
「やっぱりロラン師匠は凄いです!」
クレハとリアが笑顔でこちらに向かってくる。
「褒めすぎだよ。アデルの魔法もかなり強力だったからな」
「でもロランお兄様の魔法も凄かったです!」
リアが目を輝かせながらそう言ってくるので、俺はリアの頭を優しく撫でる。
そしてアデルの方を向くと、そこには第二王子派の貴族達がアデルに駆け寄る姿が目に入る。
アデルの敗北により、俺への批判の声はかなり弱まった。
「これなら、もう大丈夫そうだな」
俺はそう呟き、学園に戻っていくのだった。
―――
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