第12話 誕生日

車に、二人で乗り込み、エンジンをかける。


いつもの重低音がなる。


行こうか、デズニー。


うん。凄い楽しみ。


お互いの距離が、凄く縮まった感じがした。。


自販機で、買った珈琲を、幸恵に渡すと、俺は、車を走らせた。。


朝の風が、気持ちいい。窓を開けて、12月の風を受けて、少しだけ、走る。


顔が、凍りそうになり。


窓を締める。


寒いっ。


クスクスと笑いながら、幸恵に、当たり前じゃんと、言う顔をされて。。


俺は、幸せな気持ちで、車を走らせる。。



着いたぁ。

幸恵は、子供のようにはしゃいでいる。


俺は、それを眺めて、あぁ。良かった。そう思った。


幸恵、ゲートあっちだよー。

そう言うと


小走りで、幸恵は、俺の腕に、飛び付いた。誠。ありがと。

大好き。


可愛くて、照れながら


良かったよ。本当に。連れてきて。


うん。一度行って見たかったけど。うちの親。高齢だから。


ああ。そうか。不妊治療頑張ったって。。言ってたもんな。。


ごめん。聞いていい?


うん。


両親って、幾つなの?


今年で、70歳だよ。


そっか、で。遠慮して、行けなかったって事?


うーん。遠慮したと言うか、お父さん、足が、少し悪くて。。


そうなんだ。じゃあ、その分、俺が、行きたい所なるべく、連れて行ってあげる。


うん。ありがと。幸恵が、ぎゅっと、抱きついた。。


ゲートに着くと。既に人がいっぱいいて、その最後尾に並ぶ。


いつもなら、並ぶのが、嫌いな俺も、幸恵が、隣にいるから、不思議だけど待ってる時間すら、心地良かった。


入場が始まり、中に入ると。幸恵に、腕を引っ張られ、最初に乗ると決めてた、アトラクションに、向かった。


あー。楽しいね。

幸恵は、凄く元気。子供のように、はしゃいでいる。


大好きな、彼女の、こんな姿

幸せな気分で、いっぱいになった。。


夕方まで、アトラクションを、駆けずり回り。俺は、足が吊りそうになったが、幸恵は、全然

疲れ知らずで、元気だった。


楽しい時間も、終わりが近づき


誠。今日は、本当にありがと。


いえいえ、どういたしまして。

帰りに、ちょっと、寄りたい所あるんだけど。良いかな。


うん。いいよ。


そんな流れで、遅くならない様に、駐車場から出た。


高速を、ゆっくり走ると、静かになった、助手席を見る。。

やっぱり、はしゃぎ過ぎだろ。

すぅ。すぅ。と寝ている、可愛い彼女の横顔を見て、地元に、戻って来た。


目的地の、少し手前で、ハッと

したように、幸恵が、目を覚ました。。


あ、ごめん。寝ちゃった。。


俺は、プッと、吹き出し。

そりゃ、あんな子供顔負けに、はしゃいだら、疲れるよ。


いや。だって、誠だって、疲れてるのに。


俺は、平気だから、気にしないで。


でも。


幸恵の言葉を、遮るように、

大丈夫。寝顔可愛かったよ。


もうっ。大丈夫って、何が?


ちょっと、怒った顔も、可愛い


もうすぐ、着くよ行きたい場所


え、そうなの?


うん。そうだよ。


近くの駐車場に、車を停めて。


こっちだよ。この、レストランに、来たかったんだ。


彼女と、手を繋ぎ、お店のドアを開ける。


テーブルには、ケーキが置いてあり、予約席のプレートが、見える。


わぁ。幸恵は、目を輝かせ、俺の方を見る。


これって。


誕生日おめでとう。幸恵。


ほら、座って。


うん。


誕生日といえば。甘党の、俺としては、ケーキは、外せないからな。

ほら、サプライズの、デズニー

が、サプライズじゃなくなっちゃったから。

後は、ケーキくらいしか、思い着かなくて。。。


それに、20歳って、区切りだし。。俺に出来る範囲で、お祝いしたかったんだ。


ちょっと、涙目で。

なんか、いっぱい、頑張らせちゃったね。


幸恵が、感動して、そう言ってくれてるのが分かる。


無理とかじゃないよ。本当に。

だって、準備してるのも、楽しかったから、俺。


喜んでくれて、ありがとう。


それだけで、十分だよ。幸恵が、幸せだと、俺も、嬉しい。それは、楽しくても、辛くて、多分、共感する自分がいて。。


本当に、不思議なんだけど。

何なんだろうね、この、感覚。


ローソク。火を着けるからさ、


うん。


ふーっと、火を消す。


おめでとう。幸恵。


ありがと。誠。


濃厚な、この店だけのオリジナルケーキ。。


甘くて、甘くて、甘い。


疲れてる時に食べると、最高のケーキ。


今日は、甘くて、

本当に、美味しい。


このケーキ、誠みたい。


え。


凄く、甘いんだもん。


いや、いや。そんな事ないよ。


幸せな時間を、過ごして、少し

レストランの、オーナーと、話して、店を出た。


帰りの、駐車場までの小道で、

幸恵に、チョコレート味の、キスをされてから、車に戻った。


車に乗ると。

今日は、幸せな、誕生日ありがと。もう、幸せ過ぎて、お腹いっぱいだよ。

誠。約束。赤ちゃん出来たら、結婚してね。

小指を立てて、二人で、指切りして。また、キスをして。

車を、駐車場から、出した。


幸せな、1日も、終わりが近づき、夜の10時に、家の側で、幸恵と、別れた。。


それから。。。

家に戻り、布団に、倒れ込むように、その日の俺は、寝てしまった。。。胸いっぱいの、幸せな気持ちを抱いて。。。
















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