第30話 南の塔と西の塔

アルトたちは東の塔で得た手がかりをもとに、次なる目的地である南の塔に向かっていた。南の塔にたどり着くと、そこにはまたしても巨大な石の扉が彼らを迎えていた。


「ここが南の塔か…。またこの扉を開けるために呪文が必要だな。」アルトは扉を見上げながら言った。


フェリシアが巻物を確認し、「そうね。東の塔で唱えた呪文とは少し違うけれど、これも解読してみせるわ。」と言い、呪文を唱え始めた。


エリックは警戒しながら周囲を見渡し、「中に何が待っているかわからない。気を引き締めて進もう。」と注意を促した。


フェリシアが呪文を唱え終えると、石の扉がゆっくりと開き、内部への道が現れた。アルトたちは慎重に中へと進んだ。


「ここもらせん階段が続いているのね。頂上まで行かなきゃ。」リナは息を整えながら言った。


「今回も気をつけて進もう。何が待ち受けているか分からないからな。」エリックは前を見据えながら言った。


塔の内部は薄暗く、静寂が支配していた。壁には古代の象形文字やシンボルが彫られており、その中には重要な手がかりが隠されているかもしれなかった。


「見て、この文字。何かの呪文が刻まれているわ。」フェリシアは指で文字をなぞりながら言った。


「これも試練の一部かもしれないね。慎重に解読しよう。」アルトはリュウシンを抱えながら言った。


フェリシアは巻物と壁の文字を照らし合わせながら、「ここに書かれているのは、知識の光を導くための次のステップのようね。」と解読を進めた。


塔の頂上にたどり着くと、そこには再び大きな祭壇があった。中央には古代のシンボルが刻まれており、その周囲には魔法陣が描かれていた。


「ここでも呪文を唱えるんだな。」エリックは祭壇を見つめながら言った。


「そうよ。みんな、祭壇の周りに集まって。」フェリシアは巻物を広げ、呪文を唱え始めた。


フェリシアの呪文が響き渡る中、祭壇が再び光り輝き始めた。光が部屋中に広がり、壁に描かれた古代の絵が動き出した。


「見て、また光が示している!」リナが驚きの声を上げた。


「この光が次の手がかりの場所を示しているんだ。」アルトは光が示す方向を確認しながら言った。


「次は西の塔か。急いで行こう。」エリックは地図を確認しながら言った。


アルトたちは南の塔を後にし、西の塔に向かって歩き始めた。道中、彼らは古代の都市の壮大さと、その崩壊の痕跡に改めて感嘆しながら進んでいった。


「この都市にはまだまだ謎が隠されているわね。」リナは壁に描かれた古代の絵を見つめながら言った。


「次の塔にたどり着くまで油断できない。何が待ち受けているかわからないからな。」エリックは前を見据えながら言った。


「リュウシンも頑張ってる。僕たちも負けられない。」アルトはリュウシンを見つめながら言った。


彼らが西の塔に近づくと、突然、空から巨大な影が現れた。それは翼を広げ、鋭い爪とくちばしを持つグリフォンだった。グリフォンはアルトたちの前に降り立ち、威嚇するように唸り声を上げた。


「これは…グリフォンだ!」リナが驚きの声を上げた。


「古代の守護者が現れたのか。戦うしかないな。」エリックは剣を構えた。


「気をつけて。グリフォンは強力な敵よ。でも、私たちなら勝てるわ。」フェリシアは魔法の杖を握りしめた。


グリフォンは鋭い目でアルトたちを睨みつけ、一気に攻撃を仕掛けてきた。アルトたちはそれぞれの得意技を駆使し、グリフォンとの激しい戦闘を繰り広げた。


「リナ、後ろに回って!フェリシア、援護を頼む!」アルトは指示を出しながら前に出た。


リナは素早く動き、グリフォンの背後から攻撃を仕掛けた。「こっちよ、こっちに注意を引き付けて!」リナが叫んだ。


フェリシアは呪文を唱え、グリフォンに向かって強力な魔法を放った。「この光の力で、貴方を封じるわ!」


エリックは剣を振りかざし、グリフォンの攻撃を防ぎながら反撃した。「俺たちの力を見せてやる!」


リュウシンも勇敢にグリフォンに立ち向かい、その小さな体から光のエネルギーを放った。グリフォンは一瞬怯んだが、再び攻撃を仕掛けてきた。


「リュウシン、今だ!」アルトが叫び、リュウシンは一層強力な光を放った。


光がグリフォンを包み込み、その力でグリフォンは動きを止めた。アルトたちは一気に攻撃を仕掛け、ついにグリフォンを打ち倒した。


「やった…グリフォンを倒した!」リナが喜びの声を上げた。


「これで西の塔に入れるな。」エリックは息を整えながら言った。


「皆、よくやったわ。次は塔の中で呪文を唱えましょう。」フェリシアは巻物を確認しながら言った。


アルトたちは西の塔の内部に進み、再びらせん階段を上って頂上へ向かった。そこにはまたしても大きな祭壇があり、フェリシアは呪文を唱え始めた。


「この光が次の手がかりを示しているのね。」フェリシアは呪文を唱えながら言った。


祭壇が光り輝き、壁に描かれた古代の絵が再び動き出した。アルトたちは光が示す方向を確認し、次の手がかりを得た。


「次は北の塔だ。最後の試練が待っている。」アルトはリュウシンを見つめながら言った。


「次の試練も、俺たちの力で乗り越えてみせる!」エリックは決意を新たにした。


こうして、アルトたちは次なる塔に向けて進み続けた。知識と団結の力で、彼らは失われた都市の秘密を解き明かし、新たな冒険に挑む決意を固めた。

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