第29話 聖堂への道

アルトたちは、巻物に記された手順に従い、都市の中央にある聖堂を目指すことにした。道中、彼らは古代の都市の壮大さと、その崩壊の痕跡に驚きと畏怖を感じながら進んでいった。


「聖堂はこの先にあるはずだ。みんな、気をつけて進もう。」アルトは地図を確認しながら言った。


「この都市、こんなに大きかったなんて…信じられないわ。」リナは周囲を見渡しながら感嘆の声を上げた。


エリックは警戒しながら、「確かに壮大だが、その分、罠や敵も多いかもしれない。気を緩めるな。」と注意を促した。


フェリシアは魔法の杖を握りしめ、「聖堂にはきっと重要な手がかりがあるわ。早く行きましょう。」と前進を促した。


アルトたちは石畳の道を進み、崩れた建物の間を慎重に歩いた。古代の都市は荒れ果てていたが、その中にはまだ美しい装飾や彫刻が残っており、かつての栄華を物語っていた。


「見て、この壁画。古代の人々の生活が描かれているわ。」リナは壁に描かれた絵を指差した。


「本当に精巧な作りだな。これだけの文化があったのに、一体何があったんだろう。」エリックは興味深げに壁画を眺めた。


フェリシアは呟くように、「おそらく、何か大きな災害か戦争があったのかもしれないわ。でも、その詳細はまだわからない。」と言った。


道中、彼らは幾つかの罠に遭遇しながらも、協力してそれを乗り越えた。突然、前方に巨大な建物が見えてきた。それが聖堂だった。


「ここが聖堂か…。本当に立派な建物だ。」アルトは感心しながら言った。


「でも、気をつけて。中にも罠があるかもしれない。」エリックは剣を構えながら警戒した。


フェリシアは巻物を手に取り、「この中で特定の呪文を唱えることで、次の手がかりが得られるはずよ。」と言った。


アルトたちは慎重に聖堂の中に入り、中央にある祭壇にたどり着いた。祭壇には古代のシンボルが刻まれており、その周囲には魔法陣が描かれていた。


「この場所で呪文を唱えるんだな。フェリシア、準備はいいか?」アルトはフェリシアに目を向けた。


「もちろん。みんな、祭壇の周りに集まって。」フェリシアは巻物を広げ、呪文を唱え始めた。


リナとエリックは祭壇の周りに立ち、アルトはリュウシンを抱えながらフェリシアの呪文を見守った。


フェリシアが呪文を唱えると、祭壇のシンボルが輝き始めた。光が部屋中に広がり、天井に描かれた星座が浮かび上がった。


「見て、星座が浮かび上がっているわ!」リナが驚きの声を上げた。


「この星座が次の手がかりか…。」エリックは天井を見上げながら言った。


フェリシアは呪文を唱え続け、「この光が示す場所に次の試練があるわ。」と言った。


光が示す方向を確認すると、彼らは再び道を進み始めた。聖堂を後にし、次の試練に向かって歩き出した。


「次は塔に向かうんだな。そこでも特定の呪文を唱える必要があるのか。」アルトは地図を見ながら確認した。


「そうよ。それぞれの塔で順番に呪文を唱えれば、知識の光が完全に解放されるわ。」フェリシアは説明した。


アルトたちは聖堂で得た手がかりに従い、都市の四隅にある塔に向かうことにした。次なる試練の舞台は、それぞれの塔の頂上で行われることになっている。


「まずは東の塔に向かおう。ここから一番近いはずだ。」アルトが地図を確認しながら言った。


「それぞれの塔で呪文を唱える必要があるんだね。フェリシア、準備はできている?」リナが尋ねた。


「もちろん。皆が協力してくれるなら、問題ないわ。」フェリシアは自信を持って答えた。


「気をつけろ。塔には罠や守護者がいるかもしれない。」エリックは剣を握りしめながら警戒した。


アルトたちは都市の東端にある塔に向かって進んだ。道中、彼らは崩れた建物や巨大な彫像を避けながら、慎重に歩を進めた。塔の前にたどり着くと、そこには巨大な石の扉が立ちはだかっていた。


「ここが東の塔か…。立派な建物だな。」アルトは感心しながら言った。


「でも、どうやって中に入るの?」リナが疑問を投げかけた。


フェリシアは巻物を取り出し、「この扉には特定の呪文を唱える必要があるわ。みんな、手を貸して。」と呼びかけた。


フェリシアが呪文を唱え始めると、石の扉がゆっくりと開き始めた。内部にはらせん状の階段が続いており、塔の頂上へと導いていた。


「行こう。頂上で呪文を唱えなければならない。」アルトはリュウシンを抱えながら先頭に立った。


「気を引き締めて進もう。何が待っているかわからない。」エリックは警戒しながら階段を登り始めた。


塔の内部は薄暗く、石の壁には古代の文字が刻まれていた。階段を上るごとに、彼らは一層深い静寂に包まれた。


「この文字…古代の呪文が書かれているわ。」フェリシアが壁を指差した。


「何か手がかりになるのかな?」リナが興味深げに尋ねた。


「おそらく、この塔の守護者を封じるためのものかもしれないわ。注意して進もう。」フェリシアは慎重に言った。


頂上にたどり着くと、そこには広い部屋が広がっていた。部屋の中央には大きな祭壇があり、その上には古代のシンボルが刻まれていた。


「ここで呪文を唱えるのか?」エリックが疑問を投げかけた。


「そうよ。みんな、祭壇の周りに集まって。」フェリシアは巻物を広げ、呪文を唱え始めた。


フェリシアの呪文が響き渡る中、祭壇が光り輝き始めた。光が部屋中に広がり、壁に描かれた古代の絵が動き出した。


「これは…何かが起こっている!」リナが驚きの声を上げた。


「この光が示す場所に次の手がかりがあるわ。」フェリシアは呪文を続けながら言った。


光が示す方向を確認すると、彼らは次の塔に向かって歩き出した。


「次は南の塔に向かうんだな。そこでも同じように呪文を唱える必要があるのか。」アルトは地図を見ながら確認した。


「そうよ。それぞれの塔で順番に呪文を唱えれば、知識の光が完全に解放されるわ。」フェリシアは説明した。


「よし、次の試練も乗り越えよう。リュウシン、僕たちの知識と絆を見せてやろう。」アルトはリュウシンに語りかけた。


「私たちならきっとできるわ!」リナは自信満々に言った。


「どんな試練も、俺たちの力で乗り越えてみせる!」エリックは力強く答えた。


こうして、アルトたちは次なる塔に向けて進み続けた。知識と団結の力で、彼らは失われた都市の秘密を解き明かし、新たな冒険に挑む決意を固めた。

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