第十話 姫神龍耶と龍泉銀河と巳滝星夜 その4-星夜の気持ちと銀河の心情-
僕と星夜は龍耶さんに呼び出されて店内の奥の部屋にいる。これはなんというか…空気が重い。星夜は先程から俯いてるし龍耶さんは真顔でいるしめちゃくちゃ圧を醸し出してるし…。こういう時は変にふざけると怒られるのは確実なんだよね
「星夜…。単刀直入に言うけどキミが初めて抱いたあの感情の正体。その感情は独占欲や嫉妬から来るものだよ。銀河の事が大好きで誰にも取られたくない。自分だけを見て欲しいという感情だね。ボクもそういう経験を何度もした事ある。(この世界だけではなく前にいた世界やその前の世界でもね)」
「そうなんですね…。龍耶さん、それは間違いないです。私、銀河ちゃんの事誰よりも大好きですから」
あれ…?星夜さん、龍耶さん。本人目の前にいるの忘れてません?確かに僕と星夜は恋仲ではあるけど…いざ目の前でそんな話されるとは思って無かった。そう思ってると龍耶さんは僕に聞いてきた
「星夜の話を聞いて銀河はどう感じた?」
「星夜がそこまで考えてたなんて…それに僕の一挙一動でそんな感情になっていたなんて知らなかった」
「うん。それに恋人同士の方が嫉妬や独占欲は強くなる。これは恋人同士でお互い自分の大切な人だからこそ強くなるんだよね。恋人同士だからまだ良いけど。まだ付き合ってない状態、お互い好きなんだけど気持ちを伝えられていない状態…両片思いや好きなんだけど一方通行の片思いになるとそうも言ってられない。厄介な感情。それが嫉妬と独占欲。本当にこの感情は厄介だよね」
「人間の感情って本当に不思議ですよね。自分もこの感情が湧き出てきた時はどうしていいか分からなくて…銀河ちゃんに相談するのにもなんて説明したら良いのかって思って。それを電話越しで気づいた龍耶さんは本当に凄いなぁって」
「いやまぁ…ボクもその気持ち十分に分かるからさ。キミ達には言った方がいいかな…。でもこれは後々の方がいいのか?」
龍耶さんはその感情に対して自分も経験があると改めて言った。それと何か言い淀んでいた。僕達にも関係がありそうな話っぽいけど…そこで星夜が龍耶さんに言葉を紡いだ
「龍耶さん。その話って私達にも関係ある話ですか?それなら聞きたいです。気になります」
「まぁ大いにキミ達にも関係ある話かな?キミ達は前世…転生を信じる?」
「私は…信じます。銀河ちゃんとこうして恋人同士になれたのも、好きになったのも」
「僕は…」
僕はどうなんだろ?考えた事ないや。確かに繋がりはあると思ってる。でも確信できないのもあるし…あったとしても僕達はどの時代でどの様な人物、動物だったか分からないし
それが現世にどう因果関係があるのかって思ってしまう
「銀河、そう難しく考えなくていいよ。聞いただけだから」
「…え?あ、はい。」
僕が真剣に考えてたのか龍耶さんは難しく考えなくていいと言ってくれた。そんな真剣な顔してたのか僕は…??
「でもさ、この出逢いもこの出来事も全て仕組まれていたと考えたら面白いと思わない?出会うべくして出逢った。そしてこういう経験もしお互いの気持ちを伝え、分かり合えた。面白くて素敵だよね」ニコッ
「龍耶さん!分かります!龍耶さんとこういう風に話せて、銀河ちゃんには私が抱いてる感情を知ってもらって…私、凄く嬉しいかな/////」
そうか…。そうだったんだ。龍耶さんは僕と星夜の為にこういう場を設けてくれた。お互いがすれ違わない様にと。龍耶さんって本当に凄いや。僕はジーッと龍耶さんを見ていた様で…龍耶さんが笑顔でこっちを見ていた。
「だってさ♪良かったね。銀河」ニコッ
「はい。エヘヘ」ニコニコ
これが人たらしドラゴンと言われた龍耶さんの魅力である。名前に龍がついてるからあだ名にドラゴンってついてるとかなんとか
「さて、2人が元に戻った。いや、前以上に仲良くなったみたいだし先輩はお暇しようかな。2人は店内に戻る?それとも少しの間ここに居る?」
龍耶さんは僕と星夜の雰囲気を見て気遣いからか提案してきた。その提案に星夜はこう応えた。
「銀河ちゃん、どうする?私はもう少しここに居たかなぁって」
「そうだなぁ…僕も、もう少しここに居ようかな」
「龍耶さん。私達もう少しだけここに居ます。夕ちゃんに聞かれたら適当に伝えといてください」
「おーけい。夕希には適当に言っとくよ。祈織には2人共仲直りしたって言っとくね」
「「ありがとうございます。」」
僕も同じ気持ちだった。それを承諾したのか星夜は夕には適当に伝えといて欲しいと龍耶さんに伝えた。夕の事だから僕達をおちょくると思ったのだろう。星夜から信用されてない夕…どんまい。こういう時の夕はおちょくらないのは知ってる。それを星夜言おうか迷ったけど止めた。星夜の事だから絶対に信じなさそうだからね。幼少期の頃、それで夕に泣かされてたし騙されたもんね。幼少期とは言え。まぁ…自業自得だな夕
「それじゃ、お2人さん。何かあれば連絡してね♪ごゆっくりね~」ニコニコ
そう言うと龍耶さんは店内に戻って行った。
僕と星夜はお互い顔を見つめ合ったが…恥ずかしくて顔を逸らしてしまった。何か話そうと思いつつも何も思い浮かばない…。
こういう時どうしたらいいか分からない。
この現場を夕に見られたら何か言われそうだ…。キミ達ほんと面白いねと。
そんな事思いながら僕と星夜はこの穏やかで心地良い時間をまったりと過ごしていた。龍耶さんに心から感謝しながら
銀色の河に輝く星夜【ぎんせい】 銀龍(ぎんりゅう) @nao_1988
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