第23話 ボス部屋ですわ
「だいぶ進んだな。次が最後の部屋じゃないのか。異様な魔力も感じるしな」
「確かにこの気配は怖いですわ!」
例によってどさくさ紛れに推しに抱きつきながら、怖いアピール。本当に次の扉開けたくないんだけど……一人だったら最後の部屋の扉開けずに帰ってるわ……。
ここまで引っ付いてたら本当に安全も安全だったから、ホントは怖さも薄らいでるんだけど……ほら、そこは怖がった方がアビス様に可愛いって思ってもらえるし、くっついてられるし得じゃない?
……実際、本当にべったり離れないようにしないと危ないのはあるんだけど。私も学校で習ったのものと、最初から使えたらしい変な傘の魔法で多少は戦えるけれど、こんな、RPGで言えばラストダンジョンくらいの場所、一人でどうにか出来るような実力があるわけもないし。
私みたいな足手まといがいて、ここまで問題なく来れたのはもちろんアビス様の強さもあるけれど、ちゃんと私が物理的にアビス様から離れないでいたお陰もあると思う。おんぶに抱っこだからあんまり誇れないけどね! あとよこしまな気持ちもメチャクチャあったしね!
「行くぞ、準備はいいか」
私がうなずくのを見て、アビス様が最後の部屋のドアを開ける。やっぱりというか、いました、ラスボスらしきもの。
一言で言うとクソデカドラゴン!
そのクソデカブラックドラゴン(一応どこかから灯りが照らしてるけど、薄暗いから黒いと見づらい)は、私達を見つけると、部屋全体が震えるほどの咆哮でもって歓迎してくれました。これは……アビス様のセミだかコアラになってても普通に怖い!
「ほほう……少しは歯ごたえのありそうな奴が歓迎してくれるじゃないか!」
アビス様はこんなクソデカ黒光りドラゴンにひるむ事なく、また闇のエネルギー波みたいなものでドラゴンに先制攻撃!
「グルゥウウウウウ………」
効いてるみたいだけど、道中の化け物達みたいに一瞬で灰に…はとはいかないみたい。
「ソフィア、絶対に俺様から離れるな! しっかり掴まっていろ!」
アビス様も、流石に余裕って感じじゃなさそう。いえ、今も私を片手で抱えて飛びながらドラゴンのブレスを避けて、また反撃して……って私のマイラブ推しらしいカーッコいいアクションしてるんだけど。私を抱えて戦っているから、決定打までドラゴンを追い込めない感じ……。
確かに一緒に来たい、守ってやるってアビス様が自分から言ってくれた事だけど……。ただの足手まといにはなりたくないー!
「でやー!! 料理長さん特製激ウマ干し肉!!!ですわ!!」
無我夢中で干し肉のデッカイ束を向こうの方に放り投げた。美味しそうな匂いのする干し肉の束は、ドラゴンの嗅覚を刺激したらしく、ドラゴンブレスをやめて、背後に飛んでいった干し肉を追いかける!
「今です、アビス様!」
「あ、ああ!」
アビス様の闇魔法がガラ空きのドラゴンの背中に炸裂した。
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