第17話 不穏は回避するのですわ

「おそばに置いてもらえる代わり、これからもっともっとアビス様にご協力いたしますわ。例えば、魔界に太陽を呼び戻したいお話とか……」


 自分でハンカチを取り出して目とか頬とかを擦りながら、申し出ておく。うう、涙でお化粧がグチャグチャ……ファンタジー美形補正で、そんなに化粧しなくてもソフィアの私って可愛いし、思ってたより情緒が不安定なとこあるっぽいから、これからはあんまり濃い化粧はしなくていいかな……。アビス様ってアウトドアな人だから、ついて行きたいなら動くのに困るような事は避けないと。                                                                                                                                                  


「そうか、なら今から共にソル王国王都の方のレオナルド王子から、秘宝を奪いに行こう!」

「えっ!」

「どうした? 家に帰りたくないなら、俺様が全力で守ってやる、恐れることなどない」


 いや、アビス様が守ってくれるなら、別に今から行くのは構わないけど、(これだけ二重に変装と阻害をすればバレないだろうし)、多分ゲーム通りなら、アビス様って負けてボコボコにされて再起不能になるのよね。


 だからって「負けるから止めた方がいい」なんて言っても流石に信じてもらえないだろうし、っていうか傷つけちゃうし、かといってこのまま送り出すのもなー。


 なんか……乙女ゲーマーだった前世の血が、「このまま向かわせるとバッドエンド直行だろ」って言ってるのよね、まずい。ゲームだったら逆に先にバッドっぽい選択肢選んでCGスチルやエンディング回収をするけど。


 なにか、なにか止めるには…………そうだ!


「アビス様。まずは安全な魔界を探ってからでも、遅くないんじゃないでしょうか?」

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