第59話 番外編6 おせっかい(優愛編)
一縷はご飯を食べるも、顔色は芳しくなかった。
家庭内の詳細はわからないけど、食事量は圧倒的に不足している。家に帰宅してから、食事を抜かれたのは容易に想像がつく。
一日一食でおなかを満たすためには、圧倒的な食事量を必要とする。明日は弁当の中身を五倍、一〇倍にしたほうがよさそうだ。胃袋に大きな負担はかかるけど、生存していくためにはやむを得ない。
明日のメニューを考えていると、クラスメイトがこちらにやってきた。
「優愛、痴漢犯罪者には関わらないほうがいいよ。あいつに接近したら、あなたも同類扱いされて、クラスの居場所を失うよ」
一縷を見捨てる=好きな人をみすみす殺害するに等しい。
「私は私の正義に基づいて、彼を助けようと思っているの。第三者は口を挟まないでほしいんだけど・・・・・・」
「優愛がいじめのターゲットに・・・・・・」
「邪魔者扱いされるのは、もう慣れっこだからね。あなたたちもいじめたいなら、好きにすればいいんじゃない。もっとも、すぐに警察に通報するけど・・・・・・」
学校に相談したとしても、もみ消させるのが関の山。警察に相談しなければ、被害を防止するのは難しい。
クラスメイトは大きなため息をついた。
「あなたと関係を持ち続けると、こちらにも被害を被ることになるね。突然で悪いけど、縁を切りたいんだけど・・・・・・」
クラスメイトの提案に、はっきりとした意思を持って頷いた。
「わかったわ。絶縁すればいいんだね・・・・・・」
「物わかりが良くて助かるわ・・・・・・」
本性を知った時点で、絶縁する決意を固めていた。高校を卒業するまで、徹底的に距離を置くことになるだろう。
5年前にいじめを受けたときから、数より質に重きを置くようになった。薄っぺらい人間100人よりも、心を本当に満たしてくれる1人がよっぽど大切だ。
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