第57話 番外編4 米粒を渡さなければよかった(一縷の母編)
同級生の女子高生に痴漢を働いた、世界で一番許しがたいクズ五味野郎に、30粒のコメ、30ミリの水を与えたのは不覚。わずかばかりの食料によって、死へのカウントダウンが長くなった。家族に安泰をもたらすためには、最短で殺害する必要があった。
30の米粒、30ミリの水を没収したいけど、おなかの中に納まっていると思われる。栄養価になってしまったものは、回収するのは不可能といえる。
知恵が頭を抱えていると、しょうねがこちらにやってきた。ものすごくイライラしているらしく、眉間に大量の皺が寄っている。
「おかあさん、痴漢犯罪者に食料を与えたのはどうしてなの?。ご飯をちょっとでも食べさせたら、なかなか死ななくなるよ。痴漢を働くような男は、生命力だけはすさまじいものを持っていたりするんだよ」
「しょうね、ごめんね。次からは何も食べさせないようにするね」
しょうねは背中をボリボリと書いた。
「痴漢を働いたような男は、自分から命を断てばいいのに。我が家で息をされると、家庭内が腐ってしまうよ」
「本音は追い出したいところだけど、警察の捜査の手にかかることになる。そんなことになったら、息子を殺す計画は水の泡と化してしまうわ」
しょうねは壁をグーで二、三度殴った。
「くそ、くそ、くそ、くそ・・・・・・」
知恵もつられるように、壁を平手打ちする。
「チクショー、チクショー、チクショー、チクショー」
「致死量の塩分を入れた、水を飲ませてみるのはどうかな。自主的に摂取させれば、痴漢犯罪者が勝手に自殺したことにできるよ」
「痴漢犯罪者を殺すためとはいえ、塩を無駄遣いしたくないよ。家計を圧迫することなく、あの世送りにしないと・・・・・・」
「そうだね。食料の高騰によって、家計は苦しいものね。痴漢犯罪者を殺すために、食べられるものを摂取させるのはありえないね」
下唇が乾燥したのを感じたので、舌で軽く舐めた。
「おかあさんは知恵を振り絞っているところなの。 絶対にうまくいくから、しょうねは黙ってみていなさい」
「おかあさん。痴漢犯罪者を絶対に亡き者にしてね」
しょうねと指切りげんまんをかわしたあと、息子を亡き者にする気持ちをさらに高めた。
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