コスプレはお嫌いですか?

崔 梨遙(再)

1話完結:900字

 昔話です。えーっと、10年以上、15年くらい? 前の話です。その時、僕には恋人がいませんでした。



 遠方での商談、仕事帰り、僕は某特急電車で帰っていた。その日は直帰、僕は眠気に耐えていた。寝てしまって降りる駅を過ぎたら大変だ。僕はなんとか目を覚まそうとした。


 目が覚めた。


 美人が真横を通ったのだ。その女性は弁当などを売るワゴンサービスの女性だった。制服がよく似合っている。制服はブラウスに黒っぽいベスト、スカート。事務服っぽいが、事務服よりも垢抜けてカッコ良く見えた。そんな制服のよく似合う、少し背の高いスレンダーな美人。だが、僕はあえてそこでは何も買わなかった。


 ワゴンのお姉さんが車両を出た所で追いかけた。


「すみません、弁当を買います。あと、お茶も」

「あ、ありがとうございます」

「特急電車で働くってスゴイですね。日本中を回るお仕事なんですね。で、お住まいはどちらなんですか?」

「大阪です」

「あ、僕も大阪なんですよ。もしかして、大阪で降ります?」

「はい、今日は大阪に戻ったら仕事は終わりです」

「ほな、食事に付き合ってもらえませんか?」

「え! 食事ですか?」

「僕、こういう者です。怪しい者ではありません」

「あ、名刺、どうも。崔さんですか?」

「はい、崔です。独身です。彼女もいません」

「じゃあ、食事だけなら。私も今は彼氏がいませんので」

「良かった! ほな、電話番号を教えてください」

「ええ、いいですよ」

「ちなみにお名前は?」

「江藤貴理子です」

「貴理子ちゃんね。ほな、駅でしばらく待ってるから」

「はい、着替えたら帰れますので」

「あ、できれば制服を持って来てほしいんやけど」

「は?」



「お待たせしました」


 貴理子は私服だった。着替えてきたのだ。なんだか、貴理子の魅力が半減したような気がした。だが、まあ、とりあえず飲みに行く。


「食事だけ」


と言っていたが、食事だけですむわけがない。食事しながら、思いっきり口説いた。そして、僕達はホテルへ。


「制服、持って来てくれた?」

「はい、持って来ました。一応」

「ほな、制服に着替えてくれへん?」



 結論から述べる。“萌えた(燃えた)!”







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コスプレはお嫌いですか? 崔 梨遙(再) @sairiyousai

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