185.価値ある勝利
【修正】前回末尾、『挑戦』と書くべきところを『納得』としていました。お詫び申し上げます。
「やられた」
「っしゃああああ! 勝ったのじゃあ!」
「勝ちましたぁ!」
ミソラ →スタッフ
スタッフ→ミソラ
ヨーキ →ミソラ
投票の結果、ミソラと入れ替わっていた俺は村人陣営に吊られた。これによって、人狼は全滅し村人陣営の勝利となった。
上位チャット:あああああ
上位チャット:勝ってた流れだったのにぃいいい
上位チャット:ちょっとエルフさぁあああん
上位チャット:なんで、ヒント出しちゃうのぉおおお
上位チャット:いやもう本当にそれぇ!
上位チャット:幼女勝利! 幼女勝利!
上位チャット:よ・う・じょ! よ・う・じょ!
上位チャット:エルフ撃破! 繰り返す、エルフ撃破!
上位チャット:すばらしい試合でした。解説の俺さんはどう思われますか?
上位チャット:幼女の成長を感じられる一戦となりましたね
上位チャット:つまり、少女になった?
上位チャット:ならない
上位チャット:ならない
上位チャット:ならない
上位チャット:絶対にならない
上位チャット:十年後も幼女だから
上位チャット:ヒェ
上位チャット:急に絶対零度まで冷え込ませるのやめて
「勝ったには勝ったんじゃが……エルフよ」
「どうした?」
「なぜワシに助言したのじゃ?」
「俺が納得する勝利じゃなかったから」
ヨーキはアバターの目を大きく見開き、二度三度、
「確率任せのワシに勝っても、か」
「俺はヨーキと勝負するって約束した。確率とじゃないぞ」
「なるほどのう」
「だから、遠慮なく誇れ」
「相わかった! ミソラよ、勝利じゃあ!」
「やりましたぁ!」
上位チャット:あー
上位チャット:幼女が確率だけで答えを出そうとしたからか
上位チャット:俺らが幼女の推理を
上位チャット:最後の最後、決着が運だけだったら、確かにスッキリしないわ
上位チャット:そう聞くとしかたなかった気がしてくる……いや、やっぱ悔しいわ!
上位チャット:それはそれ
上位チャット:キィー! 悔しいわ!
上位チャット:お嬢様かな?
上位チャット:ウキィー! ウキャキャキャ!
上位チャット:お猿様かな?
「ヨーキはどうして俺がわかったんだ?」
「ミソラが『挑戦』とは『魂を煮えたぎらせるためのもの』と答えた時点ではわからんかったのう」
「ふむ」
「付け加えると、『煮えたぎるもの』ではなく『煮えたぎらせるためのもの』というのが引っかかったのじゃ」
「え、そうですか?」
上位チャット:俺も引っかかってた
上位チャット:俺も俺も
上位チャット:どういう理屈か教えてー
「えーと、私が『挑戦』するのは、やっぱり、とんでもない強敵に挑んであの魂が煮えたぎるような興奮を味わうためなので、『魂を煮えたぎらせるためのもの』と答えましたね」
上位チャット:なるほど、「とんでもない強敵」じゃないといけないからか
上位チャット:ちょっとやそっとの挑戦じゃダメなのね
上位チャット:ジャイアントキリングジャンキーですもの
上位チャット:大番狂わせで出る脳内麻薬にハマってる可能性
「そう聞くと理解しやすいのう。もう一方のエルフの回答はそのままじゃな。『勝利』は『楽しむためのもの』。結果より過程なんじゃろ?」
「ん」
「私も結果より過程ですよ?」
「いや、お主は……熱量が、なんか、バグっとる」
上位チャット:バグっとるw
上位チャット:草
上位チャット:※魂は煮えたぎらせるものではありません
上位チャット:おでんの具みたいにされる逆神様の魂
上位チャット:※おでんは煮えたぎらせるものではありません
「それでじゃな。まあ……あれじゃ。その、なんじゃ」
上位チャット:何?
上位チャット:言い
「直感的に、よりワシに近いと感じたのはミソラの方だったのじゃ。じゃから、ワシはこう投票した」
上位チャット:ほほう
上位チャット:それはつまり、
「……エルフが言うように、ワシはこやつに多少は似とるのかもしれんの」
上位チャット:デレた!
上位チャット:デレ期到来!
「デレとらんわ! これ、デレとは明らかに違うじゃろ!」
上位チャット:デレではないけどそれに近い概念を感じる
上位チャット:哲学的な配信だ
上位チャット:そうか?
上位チャット:しかし、幼女と逆神様の何が近いんだろう?
「二人とも挑戦者だぞ」
上位チャット:挑戦者
「どっちも熱狂的な挑戦者だから、似てる」
「そうかのう? ワシ、普通だと思うんじゃが」
上位チャット:幼女がさらっと逆神様を普通じゃない扱いしてて草
「ヨーキはちょっと考えすぎるから迷う」
「む……」
「ゲームは楽しむものだぞ」
上位チャット:哲学的な配信だ
上位チャット:そうかもしれない
「なんだか、ワシ、本当に小さい子になったみたいじゃのう」
「そうか」
「ワシ、多分エルフより年上なんじゃぞ?」
「そうか」
「……まあ、悪い気分ではないのじゃ」
「ん」
アバター越しのヨーキの照れくさそうな笑顔が、一回り明るくなったように感じられた。
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