117.人見知りだった少女
「勝った」
上位チャット:優勝おめでとう!
上位チャット:リベンジ成功! リベンジ成功!
上位チャット:俺らの手に掛かれば余裕でしたね
上位チャット:また俺らがエルフさんを導いてしまったな
上位チャット:ガハハ!
「ん。お前らも楽しそうでよかった」
上位チャット:ギャアアア(漂白)
上位チャット:眩しくて目が潰れた
上位チャット:純真エルフ注意報
上位チャット:サーセン、調子に乗りました
上位チャット:エルフさんは勝手に勝ちました!
上位チャット:勝手にw
「あー、もう! 負けたわ!」
ぼすん、とキリシたんはクッションに仰向けに倒れ込んだ。
上位チャット:二位お疲れ様でした
上位チャット:防衛ならず
上位チャット:タイトル戦かな?
上位チャット:キリシたんも頑張ったんだけどな
上位チャット:初見ステージの決勝戦で対エルフさんは無理ゲーです
「キリシたん」
「何よ?」
「勝った」
「知ってるわよ!」
上位チャット:草
上位チャット:なんで、煽ったしw
「もう一声」
「あんたは何を――ああ、そういうことね」
キリシたんは居住まいを正し、俺を正面から見据えて、
「エルフ、あたしもリベンジするわ!」
「ん。いつでも掛かってこい」
「次こそ、あたしが完璧に勝ってみせるから首を洗って待ってなさい!」
「期待してる」
上位チャット:なるほど、こういう流れをやりたかったのか
上位チャット:割とエルフさん、熱血好きだよね
上位チャット:ある意味、これも青春
上位チャット:それはそうとエルフさんの話の切り出し方よw
上位チャット:そろそろ決着するぞー
「待って待って待ってぇ! あああああ、三位にも入れないー!」
上位チャット:あ、終了出た
上位チャット:【悲報】キョーカちゃん、表彰台を逃す
上位チャット:しかも、惜しくもないという
上位チャット:強いところと弱いところが極端過ぎるw
「ああぁ……締まらないよう……」
キリシたんとは反対に、キョーカはうつむいて小さくなった。
上位チャット:キョーカちゃんもお疲れ様
上位チャット:「締まらないよう」は草
「キョーカ」
「お兄ちゃん……」
「知ってる?」
「何を!?」
上位チャット:切り出し方が改善されました
上位チャット:されたのか?
上位チャット:改善とは
「エルフ。あんた、わかるように言いなさいよ……」
「ダメか?」
上位チャット:かなりダメでしたねぇ
上位チャット:済まない、人間はエルフと違ってそんなに察しがよくないんだ!
上位チャット:というわけで、キョーカちゃんにもわかりやすく言おう
「ん」
「え? 何? 何なの?」
「キョーカ」
「う、うん」
「持ってきた菓子折り、キリシたんに渡したか?」
「今!?」
上位チャット:お茶吹いた
上位チャット:ラーメン吹いた
上位チャット:こいつ……思いつきで喋ってる……!
上位チャット:自由だなー
上位チャット:玄関先で渡そうとしたところまでは覚えてる
「ああーっ!? 渡しそびれてそのまま忘れてたよっ!」
「早く冷蔵庫に」
「あんたら、何やってんのよ……」
上位チャット:俺にもわからん
上位チャット:子羊にもわかりかねます
上位チャット:船乗りにもわからないです
上位チャット:まあ、でも、こうやってどたばたしてる方が安心する
上位チャット:それは確かに
上位チャット:
「キョーカ、キリシたん、お前ら、また遊ぼうぜ」
濡れた包装を捨てようとしていたキョーカ。菓子折りを冷蔵庫にしまおうとしていたキリシたん。二人は一瞬目を合わせると、それぞれに
「うんっ! また、遊ぼうね!」
「連絡は事前にしなさいよ」
上位チャット:めでたしめでたし
上位チャット:キリシたんの言葉が「月がきれいですね=アイラブユー」に通じるものを感じる
上位チャット:連絡は事前にしなさいよ=アイラブユー?
上位チャット:エルフ×キリシたん?
上位チャット:違う
上位チャット:どちらが違うのか
「じゃあな」
「え?」
「あっ」
――この配信は終了しました――
上位チャット:えぁあああ!?
上位チャット:ほぁあああ!?
上位チャット:なぁあああ!?
上位チャット:予告ない! 予告ないよ!
上位チャット:どういうことなの!?
上位チャット:納得できないわ!
上位チャット:説明してちょうだい!
上位チャット:なぜお嬢様風に?
上位チャット:あ
上位チャット:何か気付いたか?
上位チャット:エルフさん、「キョーカ、キリシたん、お前ら、また遊ぼうぜ」って言ってた
上位チャット:その「お前ら」は俺らだったのか!
上位チャット:気付くかーい!
上位チャット:ェエエエルフゥウウウ!
上位チャット:でも、一緒に遊ぶ仲間に入れてもらえて嬉しい
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます