65.最後の仕込み

「負けた」


上位チャット:しょんぼりエルフ

上位チャット:耳が垂れるの可愛い

上位チャット:めちゃ可愛い

上位チャット:エルフに自信ニキならこれだけでご飯食べれそう

上位チャット:自分に限ったことではない。

上位チャット:こいつ……一般性癖化しようと……!?


「エルフさんに勝ちましたぁー!」


上位チャット:元気いっぱい逆神様

上位チャット:麗しい

上位チャット:逆神様もフリースロー入れたのは大したもんだ

上位チャット:よく集中を切らさなかったよね


「だって、相手がエルフさんですよ?」


上位チャット:おっ、逆神様ーおめでとー

上位チャット:いい勝負だったよー

上位チャット:まだ何かしてくると思ってたの?


「ええ。敵の得点を食い止めようとして反則するなんて、珍しいことじゃないですから」


上位チャット:なるほど、やり方がエルフさんなだけで、やったことは普通なのか

上位チャット:ルールブックにない反則だけどな

上位チャット:『三メートル以上の高さから飛び降りると反則。手すりでの滑走も含む』ってバスケのルールブックにも書いてあるから!

上位チャット:コートのどこに手すりがあるんだよw


「僕はその境地に至っていなかったので、とても驚きましたよ」


上位チャット:ぬるっと出てくるスタッフ

上位チャット:スタッフもお疲れ

上位チャット:動画編集、頑張れよ


「そうですね。違和感なく、僕の姿を消すよう努めます」

「えー、リクくん、消しちゃうの?」

「消しますよ。僕がいても邪魔でしょう?」


上位チャット:消さないで

上位チャット:もったいない

上位チャット:そのままにしてほしい

上位チャット:逆神様がスタッフを信頼していることは、エルフさんのせいでよくわかったし

上位チャット:せいでw


「ほらほらっ!」

「ヘイトを向ける先の僕が映っていては、視聴者も発言しにくくなります」

「でも、リクくんが映ってくれるなら、一緒に遊べるよっ!」


上位チャット:お姉ちゃんのお願いだぞ

上位チャット:こんなお願いされたら、無限に遊んじゃう


「僕は嫌ですよ。今のミソラは、テンションに任せて、勝ち目のない相手に挑むことばかり考えてそうですし」

「そ、そんなことないよー。あ、暗くなる前に、もうワンゲームくらいならエルフさんに挑めるかな……?」


上位チャット:舌の根も乾かぬうちにw

上位チャット:ジャイアントキリングジャンキーかぁ

上位チャット:エルフさんはやばいものを目覚めさせてしまったようです


「……ミソラとエルフさん。勝者のご褒美と敗者の罰ゲームに、ババロアとジュースをご用意しました。どちらがいいですか?」

「えええええっ!?」

「ふむ」


上位チャット:腹いせに、ご褒美と罰ゲームを混ぜやがったw

上位チャット:草


「俺はジュースにする」

「ミソラはどうしますか?」

「う、ううぅ……決めたっ! 私はババロアにしますっ!」


上位チャット:勝負に出た!

上位チャット:きっと、エルフさんが正解

上位チャット:俺もそっちに賭けるわ

上位チャット:この流れで勝てる逆神様は想像できない


「すっぱいぃいいいいい!?」

「うまい」


上位チャット:ですよねー

上位チャット:ちなみに、エルフさんは何か根拠あった?


「ミソラのスタッフは、鬼じゃないから飲み物には仕込まないと言ってたぞ」


上位チャット:いつ……?

上位チャット:今日のロケ前の生放送で、そんなこと言ってたような


「あと、スタッフ特製のプリンじゃないものが残ってた」


上位チャット:使われなかった最初の罰ゲームのやつか

上位チャット:ああ……確かに、ババロアならプリンっぽいけどプリンじゃないものだ

上位チャット:本当によく記憶が結びつくなぁ


「ミソラとスタッフ」

「はー……お口が……あ、はい。なんでしょうか?」

「何かありましたか?」

「また遊ぼうぜ」


 ミソラとスタッフは同じ動きで顔を見合わせた。

 そして、それに気付いたのだろう、小さく笑いあった。


「はいっ! また遊びましょう!」

「ミソラだけでは荷が重いようなので」


上位チャット:めでたしめでたし

上位チャット:最後までスタッフは素直じゃないの可愛い

上位チャット:さて、そろそろ来るか……

上位チャット:ああ、例のやつが……

上位チャット:来たぞ、エルフさんだ……

上位チャット:ゴクリ……


「最寄り駅より徒歩十五分、山奥のオアシスへようこそ! 今なら送迎バスも運行中! 天然温泉レジャーホテル《湯けむり光線》は家族や友人と楽しめるアクティビティがいっぱい! 詳しくは配信説明欄のアドレスへ、レッツゴー♪」


上位チャット:え

上位チャット:え

上位チャット:あ

上位チャット:え

上位チャット:え


「やっぱり反応悪い」

「タイミングでもないのでしょうか?」

「私、もっと根本的なところが問題なんだと思うなぁ……」



   ――この配信は終了しました――



上位チャット:あーーーーーーーーー

上位チャット:しまったぁ!

上位チャット:始めだけとは確かに言ってなかった……っ!

上位チャット:完全に意表を突かれた……!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る