本編

1話 コーヒー人間

私はよくコーヒーを飲む。

ティータイムにもコーヒーを飲むし、会社で疲れた時もコーヒーを飲む。

寝る前にも飲む。

私はコーヒーが大好きなのだ。

しかし弊害もあった。寝る前に飲むと寝れないのだ。

人は睡眠を取らなければ精神が破壊される。なので私は睡眠導入剤を大量に飲んで強制的に眠りについている。

コーヒーのカフェインは私を叩き起こす。飲まなければいいのだろうが、なぜか「飲まなければならない」と思ってしまう。それは息をするのと一緒。平日に学校や会社に向かわないといけないのと同じだ。

私はコーヒー依存症なのだ。

人は夢を見なければならないと私は考える。

現実逃避も大切ということだ。

ずっと現実を見ていようものなら、すぐに目が疲れてしまう。

皮肉にも私のコーヒー依存症は社会の写し絵だった。

何の疑問も持たず会社や学校に嫌でも向かうことを繰り返し、自分が壊れかけでも無視して傷だらけの足を動かす。

壊れれば壊れればで、精神安定剤などを飲み、最終的にはまた自分を傷つけにいく。

夢を見ることも許されずに、ただ機械として、プログラム通りに動き続ける。

働き続けば疲れて死ぬ。

カフェインだって摂取し続ければ中毒で死ぬ。

全てが社会の写し絵なのだ。

夢を見たいと思っても、それを覚ますコーヒーしか手元にないのだ。

飲み続けてついにイカれればその苦しみすら、その苦味すら、幸せと感じるようになるのだ。

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