あいびきからの恋

あいびきからの恋

バス停と家の往復早二年西も東もわからないまま

いいねから辿った君のプロフィール単身赴任二年目の僕

短編の中の二人に憧れる推しの二人は『「あいびき」から』の

小生とあなたを真似る僕と君一往復の長文チャット

朝五時に君に押されて朝焼けの八間通りをまっすぐ歩く

あさんぽの折り返し点揖斐川の空を写して君とシェアする

ルーチンの夜明けのチャットは6時まで楽しくもあり寂しくもある

吾のピラフ君のパスタをシェアするランチタイムは秘密の時間

堀座卓つま先触れる吾と君はアイスクリーム半分ずつする

君ヨシと指差し呼称で確かめる信号待ちの横断歩道

改札でカラータイマー光る僕今から一緒に宇宙に行こう

限りなく遠いところにいる君は無限遠点必ず会える

二本前早い電車で会いに行く好きと早いは異音同義語

初めての手繋ぎデートは伊勢参り二人はお願いごとをシェアする

内宮のスタバは窓際争奪戦我関せずと見つめ合う恋

すやすやの寝息を確認する僕は君の背中の稜線辿る

ロマンスの必要十分条件は僕ならば君君ならば僕

ポスト見て嫉妬する君うろたえる僕の切ない気持ちが証拠

おはようにおはようと返す毎日の7時のチャットはもう一人の君

掃除機の音に消されて救われた充電中の着信履歴