プロローグ

 20XX年——。


 田中たなかひろしは、どこにでもいる普通の高校生だった。平均的な身長、容姿、そして普通すぎる性格。彼は自分が普通であることを誇りに思っていた。

 子供の頃からの夢は、大学に進学し、真面目に勉強して、将来、安定した生活を手に入れることだった。

「才能がない」と自覚しているが故に、決して夢を追いかけることなく、ただ時が流れるのを待っていた。

 

 しかし、運命は時に意外な形でやってくる。


 新学期の始まり、宏の通う高校に転校生がやってきた。その名は、西宮にしみや美鈴みすず。彼女は天才と呼ぶにふさわしい頭脳を持ち、一目見ただけで周囲の期待を集める存在だった。

 西宮は容姿端麗でありながら、その内面はツンデレな性格。彼女の周りにはいつも一定の距離感があり、普段は誰に対しても冷たい態度を取る。その一方で、彼女が持ち歩く日記が、彼女の心の内を映し出すキーとなっている。

 そして、西宮の友達である神楽坂かぐらざか陽菜はるなもまた、日常を狂わせる存在だった。彼女は明るく元気な性格で、自称「ボクっ娘」変わった行動や突拍子もないアイディアで、いつも驚かせていた。

 こうして、宏の普通な日常は突如として揺さぶられることになる。彼の周りには、天才と変人という異端な存在が集い始め、それぞれが持つ独自の世界に引き込まれていく。

「俺は普通なんだろうけど……。これから先、一体どうなるんだろう?」

 宏は内心でそう思いながら、未知の日常に足を踏み入れていくのだった。

 

 これは、普通な高校生が、変わった友達と共に織りなす、ドタバタ青春学園ストーリーである。

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