第5話 行動開始!

とりあえず、あたしたちはそれぞれ、自分の担当を進めることにした。


お姉ちゃんは衣装デザインを考えて、愛里は歌詞作り。そして私は、練習メニュー作りだ。


うーん、お姉ちゃんと愛里を脅してみたはいいけど、どういう感じなのかな?そもそも何をすればいいのか、検討もつかない。


あ、調べてみよ。「ハイドラ 練習メニュー」で調べれば、いくつかは出てくるでしょ。


そう思いながらケータイで検索してみると。結構な数がでてきた。うーん、時代の進化を感じるなぁ。


あ……これなんかいいかも。

【ハイドラ決勝出場者が教える秘策!】

だって。決勝に出てるってことは凄い人だなぁ。ん、待てよ……決勝出場ってことは、優勝はしてないのか?だって、優勝してたら優勝って書いてるだろうし……


まあいっか!経験者の言葉なら信じていいと思うし!そっからさらに改良を加えればいいし!


そう思い、あたしはそのサイトを開いてみた。すると、目に飛び込んできたのはたくさんの項目。


振り付けの方法、作曲のコツ、作詞する時のポイント、練習メニューの考え方。なかには、ここまでなら聞いても大丈夫!公式さんへの問い合わせ、アイドルの極意!なんてものもある。


何か、濃いな……この人。あっ、サイト主のプロフィールがある。

えっと、サイト主は混合ユニット部門に出たのか……準優勝だって。すご。


勝手なイメージだけど、普通だったらその人は変な目で見られる気がする。あたしは別にいいと思うけど。

でも、そういった「個性」を受け入れるハイドラはやっぱり凄いんだよな…


そんなことを考えていると。

目の前にお姉ちゃんのじとーってした顔があった。


「うわっ!」


あたしがあげた悲鳴を無視し、お姉ちゃんは言う。


「ちょっとー、絵愛。進んでんのー?」


あっ……


「い、今書こうと思ってたとこ!練習メニューをイメージしてたんだよね!」


とあたしは焦りながら答える。

別に忘れてたわけじゃないよ?ただ感心してただけであって……


あたしの焦りようをみて、「嘘くさい……」と呟くお姉ちゃん。ちょっと失礼だなー……やってなかったあたしも悪いけどさ。


でも、お姉ちゃんの手元を見ると、ワンピースを着た女の子が三人描かれている(多分あたしたち三人)……ので、何も言えない。ぐう……


すると、今まで黙っていた愛里が声をあげた。


「よし、歌詞は出来た!どう?」


と文字が書かれた紙を手渡してくる。


えーと、どれどれ…?

あたしとお姉ちゃんは二人で紙を覗き込んだ。


タイトルは……「Beginner’s Melody」だって。なんかカッコイイね。

そして、文字を追うにつれて、どんどんテンションが上がっていく。


「なにこれ……めちゃくちゃいいじゃん!」

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