HIghschool Dream Live! LovIng sIster編

薄氷 暁

第1話

愛媛県の私立東雲女子大学附属高等学校。ピカピカの制服に身を包んだ私は今、2人の妹と共にその門をくぐったのだ!


今日は入学式。私は……いや、私たち3人は、お母さんと一緒に学校に来た。入学おめでとう、と口々にいう先輩や先生の間を通り、クラス名簿が貼ってある下駄箱へと向かう。


「えーっと、私のクラスはっと……C組か!ねね、絵愛、愛里、2人はどうなの?」


私の言葉に、すぐ近くで名簿を見ていた絵愛が答える。


「あたしは総合進学コースだからね、お姉ちゃんの隣のD組だよ」


どうやら絵愛は隣のクラスらしい。体操服とか借りやすいな、なんて思っていたら。


「愛里はA組だったよ、まな姉、えま姉」


「うわ、びっくりした!」


いきなり後ろから、愛里の声がした。そして、その声に驚いた絵愛が隣で騒ぐ。


「そっか、愛里は特別進学コースだからA組なのか…」


A組、もとい特別進学コースと私たち総合進学コースでは校舎が違う。もしかしたらすれ違うことすら少ないかもしれない。


「寂しいなぁ」


なんて口を零すと。

絵愛が呆れたような顔で私を見て言った。


「いや、家でいつも顔合わせてるじゃん」


「まあそうなんだけどさ!」


そう。私たちは三つ子だから、もちろん同じ家に住んでるし、生まれた時からずっと一緒にいる。幼稚園も小学校も中学校も一緒で、高校も同じところ。


だから、少し寂しいんだよね……離れるなんて想像もしてないもん。なんて、長女の私が言っちゃダメかな?


「それより、まな姉もえま姉もゆっくりしてる暇はないんじゃない?愛里も早く教室行って荷物置いてこなきゃいけないし」


「あ、そっか。入学式があるから教室行ってなきゃいけないよね」


あ、確かに愛里と絵愛の言う通り、あんまりゆっくりしてる時間はないかも。入学式があるから早く教室に行かなきゃ。そう思い、私は二人に言った。


「ゴメンね二人とも、引き止めちゃって。じゃあまた後でね、絵愛、愛里」


手を振り、下駄箱で上履きに履き替える。すると、二人も下駄箱へ向かったらしく、少し離れたところから


「ばいばい、お姉ちゃん」


「またね、まな姉、えま姉」


という声が聞こえた。


それにしても、なんともボロ……いや、年季を感じさせる建物だなぁ……私が来たのは入試の時だけだけど、その古さに愕然としたものだ。


というのも、夏のオープンスクールの日、私は思いっきり熱を出してしまい、絵愛と愛里だけで行ってもらったから、入試の時しか来たことがないのだ。あーあ、オープンスクール、行きたかったな……


なんでかって?

なぜならね、この学校には二次予選まで進んだ高校生アイドル、「ゆー・あー・ふらわー」がいるから!ゆー・あー・ふらわーは去年の三年生のみのユニットで、優ちゃん、茜ちゃん、華ちゃんのトリオだ。

三次予選は惜しくも敗退したけど、三次予選のテーマ「私の特技、みせちゃいます!」用の曲である、『私たちミラクル』、最高に可愛かった!だから、私もあの先輩たちの発表を見たかったんだけどな……先輩たちは三人とも東雲大に行ったらしいから、会おうと思えば会えるかな?


まあ、それは置いておいて。私たち三つ子もハイドラに出場したいと、ゆー・あー・ふらわーのサイトを見て思ったんだ。そして、三人一緒にこの東雲附属に来て、高校生ライフを満喫しつつアイドル活動しようと言うことなのです!


そういえば、アイドル部ってあるのかな?ないなら設立方法とかも調べなきゃ。


これから始まる高校生活。ワクワクするなぁ!


そう思いながら、私は自分の教室のドアを勢いよく開けた。

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