第5話プリンの行方①

カノンの視点。


まさかギルドやってないなんてね。


さぁ〜て、気晴らしにプリン食べよう!


私は冷蔵庫と言っても、魔法で作ったやつに入ってるプリンを食べる為、ドアを開いた。


ふふふ、プリーン! その時家のドアを叩く音が聞こえた。


もーう、誰も出ないの? 仕方ない。


私はお客さんを出迎える為扉を開いた。


クラスメイトの1人だった。

しばらく長話をした。


それから部屋に戻り、話し疲れて横になっていた。


しばらく経ち、プリンを食べるのを忘れていた事を思い出し、冷蔵庫に直行した。


ドアを開けてプリンを探した。ない! プリンが何処にも!


あれ? しらみつぶしに探したけど見当たらない。


…ミウか! あいつぅ〜また私のプリンを盗んで食べたな!


早速ミウの部屋に向かい、問い詰めた。


「知らないですぅ〜。プリン食べたくなったら、アキラと買いに行きますん。」


嘘はついてないようね? これで嘘だったら縁切りレベルよ。


「そうか、ごめんね疑って。」

私は申し訳ないと頭を下げた。



「良いです、カノンの前回食べたので疑われても今回は仕方ないですぅ。でも、まだ食べてないのですん。」


「うん、分かった。2人にも聞いてみる。」



さて、次に向かったのはレイナだ。

アキラは人の物勝手に食べるなんてあり得ない。


それだけ正義感だけは強いやつだから。パーティに入ったのも彼を信じているからだ。


学校の噂でも、彼の評判は女子には良い。

男子は、嫌ってる人も多いけど、それはきっと嫉妬からだろう。



レイナの部屋をノックして、レイナに質問した。


「私のプリン知らない? 冷蔵庫に入ってたんだけど。」


なるべく軽い口調で言った。


「冷蔵庫に入ってないの?」


レイナが首を傾げながら、質問した。


「うん。」


「なら知らないよ?」


「そっか、ありがとう。」


私は礼を言った。


「ううん、見つかるといいわね。」


微笑んでレイナが励ましてくれた。


そして次はアキラの部屋に向かった。


ノックすると、だるそうな返事が聞こえた。


「ねぇ、私のプリン知らない?」



「俺が知る訳ないだろ?」


アキラがベットで横になりながら、私に目も合わせず言う。


「そうよねぇ…うん?」


私はゴミ箱にプリンの容器らしきものが入っているのに、目がいった。



「あれ…アキラ…これって?」


容器を取り、アキラに疑いの視線を送る。


「見れば分かるだろ? プリンの容器だよ。」


「なんで、ここにあるの?」


誰かがアキラに罠をかけるつもりで、入れた可能性を考えた。もしくは食べて忘れているか。


「この前ミウと一緒にプリン買いに行って、それで食べたやつだよ。」


アキラが視線を向けて言う。


「なぁんだ、そうなの。」


私は思わず笑みがこぼれた。うっかりね、私は。


「そういうこと。」



「私のプリン何処言ったんだろ? アキラ、何か思い当たる節ある?」


腕を組んで聞いた。


「ああ、ミウが食べたんじゃないか?」


「ミウは知らないって。」


「じゃあ1番怪しくないやつを疑ったら?」



「1番怪しくないやつ、アキラなんだけど?」


「いや、いるじゃん。俺の目の前に、カノンだよ。」


私を指で指し示して言う。


「はぁ? 私が犯人な訳ないでしょ! 聞いた私がバカだった。ミウに推理してもらうわ。」


頭を抱えて、苛つきを抱きながら、ドアノブに手を回らす。


「あっそう、じゃあね。」


アキラが手を振って答えた。



私はミウの元に再度向かった。


「ミウ入るわよ?」


「うっぅん。」


彼女の返事が少し変であった。


「何食べてるの?」


私は眉間に皺寄せして鋭く言った。


「プリン食べてますん。」


「はぁ? プリン知らないって言ってたじゃん。」


「知らないですん。今は知ってますん。」


どういうこと? それは私のプリンじゃないのか…怒りが沸々と湧き上がる。


「食べてないって…言ったよね?」


唇を震わせながら、ミウに言う。


「今食べてますん。」


どいうこと? トンチ? 


私のプリンを食べる前だから、食べてない。

知らない、は? まだ食べてないから知らないってこと?


頭が混乱してきて、自分でも整理がつかなかった。


「う〜ん、美味しいですぅ。」


ミウの表情は憎らしいほどの笑みを浮かべていた。

まるでこの時のために生きてると伝えるほどに幸せそうだった。


「ちょっと!」


説明しろと言うつもりだったが、怒りで声に出なかった。


「あげないですよ? もう食べてますん。」


脳から何かが切れる音がした。


「私のプリンをこいつ! よくもー!」


胸ぐらを掴もうとしたが、彼女の次の言葉を聞いて、凍りついた。


「カノンのプリンじゃないですん。私のですぅ。」


「えっ?」


驚きの声をはってして、頭の中が真っ白になる。


「アキラと買ってきたプリンですぅ。カノンがプリン騒いでて、食べてなかったの思い出したですん。」



「なによ、紛らわしいわね!」


なら最初からそう言えば良いのにと、更に腹が立つ。



「もしかして、また疑ったんですか? 1日一回ならまだしも、2回も疑うなんて、許せないですぅ。」


ミウが拗ねるように言う。


「ごめん、悪かったわ。ねぇ、私のプリン探すの手伝ってくれない? その為に来たの。」


謝りながらも頼み事もする。

少し自分が厚かましいと思いながらも、今は彼女の盗賊としての能力に頼るしかないのだ。



「プリンいいですよ、買ってきた方が早いですけど、まぁいいですん。冷蔵庫の中はよく探しました?」


「探したよ。でもなかった…うーんでも言われると、不安だわ。」


「もう一回よく探しましょ〜。」


「そうね、そうしよ。」


私はミウと2人冷蔵庫に向かった。


「でもそのプリン、何処にあったの?」


ミウがプリンを置いて行かずに食べる。

考え過ぎだろうか? 見せびらかすように…冷蔵庫の中には、プリンはなかったはずなのだ。



「むむ、まだ疑ってるんですか? 私友達に小さい冷蔵庫作って貰ってそこに置いてありました。」


「なるほどね。」

話しながら、冷蔵庫の前について、ドアを開けた。


少しミウと探したけれど、なかった。


「冷凍庫は探しました?」


「そんなところある訳ないじゃん、探してないよ。」


手を振りながら、返答した。


ミウが私の言葉を無視するかのように、冷凍庫を開けた。


「ありましたぁ! これですよね?」


プリンを掲げて彼女が私に見せる。


「あっ、それだ! でも何故こんな所に…あっ!」


そうだ、私…お客さんきて、プリンを外に出して、戻ってきて、プリンぬるそうだから、一回冷凍庫に入れてたんだった。


「犯人私じゃん!」


私は恥ずかしさのあまり、体が震えて顔が硬直した。


「ミウごめん、私でした…冷凍庫に入れたの。」


ミウが私の顔を望みこむように無言で私を見つめた。


しばらくして、意地悪な笑みを浮かべて彼女が喋りだした。


「プププ、私を疑ってましたね? ちゃんと、みんなを呼んで、そこできちんと謝って下さい。」


「分かりました…お騒がせしました。」ミウに何も言えず、素直に応じた。


「あはは、カノンも結構天然なところあるんだなぁ。」

アキラが高笑いした。


「あるわよね。カノン、あなた疲れてるのよ。」


レイナがフォローするように言う。


「ミウごめんなさい、疑って。」

私は頭を下げて謝る。


「プリン妖怪ヒトノセイダーに危うく犯人にされそうでした。でも犯人は自首しました。」

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