因果のタイムループ

森本 晃次

第1話 消えた年金問題

この物語はフィクションであり、登場する人物、団体、場面、設定等はすべて作者の創作であります。似たような事件や事例もあるかも知れませんが、あくまでフィクションであります。それに対して書かれた意見は作者の個人的な意見であり、一般的な意見と一致しないかも知れないことを記します。今回もかなり湾曲した発想があるかも知れませんので、よろしくです。また専門知識等はネットにて情報を検索いたしております。呼称等は、敢えて昔の呼び方にしているので、それもご了承ください。(看護婦、婦警等)当時の世相や作者の憤りをあからさまに書いていますが、共感してもらえることだと思い、敢えて書きました。ちなみに世界情勢は、令和5年7月時点のものです。とにかく、このお話は、すべてがフィクションです。疑わしいことも含んでいますが、それをウソか本当かというのを考えるのは、読者の自由となります。年金問題など、書いている内容は、フィクションですが、年金問題とという、発生してはいけないという重大事故がかつて存在したのは、周知のように事実です。


 神崎恭平は、今年、55歳になっていた。

 昔であれば、この年で、定年退職。60歳まで、定年後の再雇用という形で過ごせば、そこから先は、

「今まで収めていた厚生年金と、国民年金」

 とで、悠々自適な老後が待っている。

 というはずであった。

 しかし、今ではそんな話は、まったくの、

「絵に描いた餅だ」

 といってもいいだろう。

 どんどん年金というのも、受給年齢が高齢となっていき、その分、まだまだ働かなければいけない状況になる。

 今では、

「定年は、60歳で、あと5年、働くことで、やっと65歳からの、年金がもらえる」

 ということになるのだ。

 しかし、昔のような、

「悠々自適」

 とはいかない。

 どんどん、年金生活というのは、人生を縛られているというような感じとなり、しかも、そのとどめとして、

「政府、つまり、厚生労働省というところの、ずさんな管理のせい」

 ということで、

「消えた年金問題」

 ということが起こったのだ。

 そもそも、年金というのは、

「老後、つまり定年後の生活を、悠々自適に過ごせるようにするために、バリバリ働いている時、税金を徴収されるのと同じように、政府が、毎月徴収している」

 ということである。

 普通の企業にサラリーマンとして勤務していれば、

「給与天引き」

 という形で、税金や、健康保険料と同じで、意識することはなく、

「強制的」

 に、聴衆されているというわけだ。

 つまりは、

「老後に満期を迎える、積立保険のようなものを、保険会社ではなく、政府の機関である、厚生労働省が、まとめている」

 ということである。

 そもそも、その政府機関の厚生労働省の職員は、公務員なのだから、

「我々の税金で食っている」

 というわけなので、

「正負や、その期間である厚生労働省の須スポンサーは、国民ということなので、彼らは、本来なら、国民に頭が上がらない立場だ」

 といってもいいのだ。

 だから、税金や、年金を取りまとめてくれているのは、実は当たり前のことであり、そこに不手際があれば、

「国民全員に謝罪する」

 というレベルである。

 それだけ、彼らには、

「義務と責任がある」

 ということになるのだ。

 そんなやつらが、自分たちがずさんな管理、

「決まっていることをしていなかった」

 ということで、最低限の管理さえできていれば、うまく回っていたはずの年金管理が、

「もうどうしようもない」

 というくらいに狂ってしまっていた。

 国民が収めた年金によって、受給額が決まるわけなので、一人一人の人間と、もらえる受給額が結びついているはずなのだが、それがまったく分からなくなってしまっていたのだ。

 そんな時代が本当に存在している。

 しかも、それを国家は分かっていたはずで、ずっと隠蔽していたという疑惑もある。

 だが、次第に年金問題が白日の下にさらされるようになると、

「正負や幹部が知らなかったなどということはありえない」

 ということであった。

 その間に、必死になって、財源を確保したり、譲歩の紐付けを、人海戦術でもいいから、やろうという意識があれば、少しは違っただろう。

 そのために、税金が使われるというのであれば、正直、理不尽ではあるが、もっとリアルな問題として、

「収めた年金が正当にもらえない」

 などということになると、それこそ問題であった。

 何と言っても、

「需給の際を厳しくする」

 であったり、全体の支給額を減らしていく」

 などという、自分たちのせいでこうなったことを、国民にそのツケを背負わせようとする考え方など、あってもいいといっていいのだろうか?

「どんどん腐ってくる」

 というのが政府の本性であり、それに巻き込まれる国民というのは、たまったものではないのだ。

 そんな時代が、今から十数年くらい前だったが、さすがにその時は、国民も政治に関心を持ち、

「政権交代」

 というものが叶った時であった。

 半世紀近くも、一党独裁だったが、そのうちに、

「連立政権でなければ機能牛亡くなった」

 とはいえ、それでも、政治に興味のない人が多かったせいで、投票率は、低い値で推移していた。

「投票率が低いと、政権与党が強い」

 というのは当たり前のことであり、

「それだけ、政権与党には、揺るぎない組織票がある」

 ということだ。

 しかも、連立を形成しているもう一つの党は、その母体が、

「宗教団体」

 なのだから強いというものだ。

 本来であれば、

「政教分離の分離」

 という原則があるのは、当然のことであるのに、公然とそんな宗教団体と結びついている

「政権与党」

 というだけでも、信じられるものではないのに、

「よくも、そんな時代に、政治の中心に入れたものだ」

 ということであった。

 それでも、さすがに、

「消えた年金問題」

 は、それだけ大きな問題だったのだ。

 リアルに、政治が、自分たち全員の生活に関わってきたのだ。

「一億が一億人、すべてが、政府の敵だった」

 といってもいいくらいだっただろう。

 何といっても、

「年金なんかなくても、老後は、悠々自適に暮らしていける」

 などという人が、本当にどれだけいるか? ということであり、逆にそんな人ほど、表向きは、

「市民の味方」

 を自認しているところが多いだろうから、結果、政府の味方をする人などいないのではあいだろうか?

 あくまでも、作者の個人的意見なので、真意は闇の中だと思っている。

 ただ、当時は、今の、

「腰抜け野党」

 と違って、勢いがあった。

 そのおかげで、政府は、完全に、

「四面楚歌」

 という状態となり、完全に、政権交代がなされたのだった。

 ただ、その後が悪かった。

 大型地震という、

「不幸」

 もあったが、それを差し引いても余りあるひどい政治。

 結局、選挙前は恰好のいいことを言っていたが、果たされた公約はほとんどない。

 しかも、その時の首脳は、

「言ってはいけないことを、ボンボン口にして、完全に庶民や、被災者を敵に回してしまった」

 というのだ。

「これだったら、前の与党の方がよかった」

 と、一期で、また政党は、まるで皆、

「消えた年金問題」

 を忘れたかのように、今度は大差で、元の政府に戻ったのだ。

 年金問題がまるでなかったかのごとくの政権復帰がなされたということは、

「それだけ、政権奪取した政府が、あまりにもひどすぎた」

 ということになるのだ。

 そんな時代が、一期でもあったというのは、国民は、口にしたくもないほどの、気持ち悪さだったということであろう。

 そんな時代を思い出していると、今では、

「年金定期便」

 などというものが、政府からやってきて、

「国民にも確認作業をさせよう」

 としている。

 確かに、その方がいいに決まっているが、そういえば、

「我々政府のまことに、ずさんな管理のせいで、皆さんの年金を消滅させてしまい、申し訳ございませんでした。これからは、我々も、より一層、ご迷惑をかけないようにがんばりますが、皆さんも、申し訳ありませんが、確認にご協力ください」

 といって、わびの一つもいれれば、少しは、

「正負もバカじゃないか」

 と思うのだが、

 勝手に送り付けてきて、

「確認しろ」

 というのは、

「何様のつもりだ」

 ということである。

 そんな、

「高飛車な態度」

 を取っているから、国民の誰にも相手にされない政府にまでなり、政権交代が起こったのではないか?

 そもそも、一期で政権が戻ったのも、

「政府与党が前の方がよかった」

 というわけではない。

 さらには、

「前の方がマシだった」

 というわけでもない。

「この政府には任せられない」

 ということがあっただけで、しょうがないから、二番手ではあったが、以前の政府に戻すしかなかったのだ。

 それを、

「政権を奪取した」

 などという思い上がりがあったせいで、戻ってすぐに、ソーリに就任した男が、何を勘違いしたのか、

「疑惑だらけの、疑惑に塗れたソーリ」

 というものを作り出した。

「私の疑惑が本当であれば、私は、ソーリどころか、国会議員も辞める」

 とまで公言してしまったことで、結局誰かが責任を取らなければいけなくなってしまったことで、責任を押し付けられた人が、

「自殺をした」

 ということで、これは自殺ではなく、

「明らかな殺人」

 であるにもかかわらず、それを今度は、

「疑惑の一つ」

 に押し込んでしまい、最後は、

「曖昧な形で終わらせる」

 ということになったのだ。

「あの件は、すでに、解決済み」

 などといって、結果、裁判でも何でも、どうしようもなくなってしまったといってもいいだろう。

 曖昧にことを済ませてしまうことで、政府はうまく回ってしまい、そのせいで、

「史上最悪なソーリ」

 が、

「政権機関の記録更新」

 という、

「名誉なこと」

 を、自らで汚してしまったということになるといってもいいだろう。

 しかも、記録更新から数日で、

「病気が悪化した」

 といって、2度目の、

「病院への雲隠れ」

 を繰り返したのだった。

 そんなソーリだったが、ソーリが誰であろうと、問題となった、

「年金問題」

 というのは、さらに、泥沼化してきていたのだ。

 というのも、そもそも、年金というものは、政府が勝手に運営していいものではないことは、学生にだって分かることだ。

 前述のように、給与天引きをされているわけなので、それは、健康保険と同じで、

「老後のための貯え」

 ということで、福利厚生の部分ではないだろうか。

 それも、国が無償で出してくれているというものであれば、文句は言えないが、元々は引かれているものだから、それを勝手に政府が、

「どうにかしよう」

 というのは本末転倒である。

 今の時代になって、

「もっと、年金受給額を引き上げる」

 というようになってきた。しかも、

「働ける人には、定年をなくする」

 というようなことを言っているのだ。

 しかも、今の時代は、

「年金廃止」

 などというとんでもないことを言いだす、

「元政府の大臣で、今はただの民間人」

 というだけの立場の男が言っているのだから、

「何をとち狂っていやがるんだ」

 といってもいいだろう。

 しかも、

「今まで収めていた年金を返さす返さない」

 ということに言及をしているわけではないので、

「返す」

 などという発想は、最初からまったくない」

 といってもいいだろう。

 ということは、どういうことを言っているのかというと、

「通販で、お金を払ったのに、商品が届かない」

 というのと同じである。 

 つまりは、

「明らかな詐欺行為」

 なのである。

 こうなると、どうなるかというと、

「じゃあ、誰が税金なんか、払うもんか」

 ということになるだろう。

 しかし、

「納税」

 というのは、国民の三大義務の一つなのである。

 そもそも、日本国家というのは、義務ばかりを優先し、国民の三大権利というものをないがしろん位しているではないか、

 三大権利というのは、

「参政権」

「生存権」

「教育を受ける権利」

 である。

 このうちの生存権というのは、最低限の生活ができる権利とあるが、そのために存在している、

「生活保護」

 などというと、結局は、

「貧乏人には金を出したくない」

 という自治体や政府の考えがあからさまで、

「何が生存権だ」

 といって、国会議事堂に唾を吐きたくなるレベルではないだろうか?

 そんな時、

「さすがに自分たちの時代は大丈夫だよな:

 というのを言ってはいたが、実際には、そんな甘いことはなかった。

 そして、世の中に蔓延ったのは、

「消えた年金問題」

 ということで、政府を語る、

「詐欺グループ:

 が横行したことだった。

「あなたの年金を保証してあげます」

 といって、騙しにかかる詐欺であった。

 しかし、さすがに、

「そう簡単には、今の時代のサラリーマンは、ひっかかることもないはずだ」

 と思われていたが、結構簡単に引っかかった人もいた。

 それは、

「実際に、いくらかのお金が返ってきた」

 ということで、すっかり信用してしまった人もいた。

 だが、そんなことが、何度も成功するわけもなく、徐々に相手も戦法を変えてくる。

 それはまるで、

「コンピュータウイルス駆除ソフト」

 のようである。

 いろいろなコンピュータウイルスに対抗するようなソフトを開発して、売りに出すのだが、相手も、さらに、新しいコンピュータウイルスを開発する。

 そして、

「駆除ソフト開発側も、対策ソフトを作りあげる」

 という、堂々巡りである。

「どこかで聞いたことがあるような」

 という発想であるが、

 それは、いわゆる、

「核開発競争」

 と言われるものではないだろうか?

 二大巨大勢力の国家が存在し、

「A国で、原爆が開発され、その実験に成功し、そして、実際に使用することで、その威力を全世界に見せつけて、自国の格の優位を見せつけることに成功した」

 とする。

 すると、今度は、A国に対抗できる唯一の、違う国家体制であるB国が、今度は、原爆開発に成功し、A国に、追いついた」

 としよう。

「そうすると、今度は、A国が水爆開発に成功したとすると、B国も開発する」

 そして、B国は、同時に、宇宙開発と称し、ミサイル開発を行うようになるのだ。

 このミサイルというのが、

「大陸弾道弾」

 と呼ばれるもので、

「核弾頭も搭載可能な、長距離ミサイル」

 のことであり、正確に相手の主要都市を標的にできるというものだ。

 相手も同じものを開発したとすると……。

 世の中は、

「核によって、均衡が保たれ、核兵器を使用するということは、自国の滅亡を意味し、同時に、世界の滅亡も意味する」

 ということである。

 地表のほとんどの都市が徹底的に破壊され、地表では人類が死滅し、地下に生き残ったとしても、放射能により、

「自然界の摂理」

 というものは崩壊し、

「食料となるべき、弱肉強食が崩壊することで、その時は生き残ったとしても、やがて食料がなくなり、餓死を待つだけになるだろう」

 といえるのではないか。

 そんなことを考えると、

「やはり、人類。いや、地球の生物はすべて死滅の運命が待っているだけ」

 ということであった。

 そんな状態を、

「いたちごっこ」

 という。

 相手に勝ることが、自己防衛に繋がり、それが、

「戦争の抑止」

 にも繋がるということを、

「核開発競争」

 というものが展開され始めた時、誰もが、

「これで、戦争がなくなった」

 と思ったかも知れない。

 しかし、首脳は、さらにそれ以上のことを考える。

 というのが、

「不測の事態」

 ということである。

 それはどういうことなのかというと、

「もし、誰か第三者が、核の発射ボタンを押しかねない」

 という場合。

 さらには、

「責任者が、精神異常に陥り、普段なら押すはずのない、核のボタンを押してしまわないとも限らない」

 ということである。

 それこそ、

「重要なものを隠しておくために、金庫を使う時、カギと、暗証番号が揃わないと開かない」

 という仕掛けにし、さらに、権力集中を懸念して、

「カギを持つ人と、番号を知っている人が別々に存在しているとすれば、絶対にないとは言えないかも知れないが、限りなくゼロに近い形で、回避を試みることができるというものである」

 といえるだろう。

 実際に、ミサイルが飛んでこないように、相手も迎撃ミサイルを用意はしているが、

 問題は、

「もし、うまく命中したとして、ミサイルの先端に、核弾頭を積んでいればどうなるか?」

 ということを考えていないのだろうか?

 ということである。

「不測の事態」

 ということをしっかりと考えているにも関わらず、ミサイルが飛んできた時のことを、ここまで都合よく考えるというのは、それだけ、

「飛んできたミサイルに対して、どうすることもできない」

 ということになるのだろう。

 それを考えると、

 核戦争というものは、正直、どんなことをしても、

「核兵器が存在している以上、その脅威を払しょくすることはできないのではないだろうか?」

 ということになるのだろう。

 だから、本当は、開発するべきではない、

「パンドラの匣」

 というものを、人類は手にするに至った。

 という表現をしているが、まさしくそうなのだろう。

 そういう意味で、

「年金問題」

 というのも、本来であれば、どんなに運営が難しかったりしても、これまでに培ってきた、

「積立」

 という方法で成り立ってきたので、それに手を付けるということは、厳禁だといえるのではないだろうか?

 それこそ、

「開発してはいけない、死の兵器」

 というものを、開発してしまったのと同じで、浦島太郎の話でいえば、

「玉手箱」

 というものを、開発し、それを浦島太郎に渡してしまったということになってしまうのではないだろうか?

 そんな、

「消えた年金問題」

 であったが、それい関わることなく、それ以前の問題なのかどうなのか、考えなければいけないことも世の中には、たくさんあるのであった。


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