ビッチだと噂されている清楚系美少女が、俺と二人っきりの時だけキスを求めてくる

譲羽唯月

第1話 俺の席の子は、ビッチらしい?

 高校二年生の難波啓介なんば/けいすけが通っている学校には、成績優秀で先生からの信頼も高い、黒髪のショートヘアな美少女――月見里莉子つきみさと/りこがいた。

 そんな彼女には、とある噂があった。


 表面上は清楚系だが、色々な異性とヤった経験があると――


 だが、それは単なる噂であり、真実かどうかはわからないのが現実。


 そんなある日、席替えが行われ、啓介はその彼女の隣の席になった。


 莉子は授業中も休み時間中も普通で、実際に隣の席になっても、特に何かしらの変化があるわけもなかった。




「啓介って、まだ帰らないの?」


 放課後。啓介は殆ど会話をしたことのない隣の席の莉子から下の名前で呼ばれた。


「今から帰る予定だったけど……」


 啓介が教室に残っていると、そのビッチだと噂されている彼女が教室に戻ってきて。今まさに、誰もいない教室で二人っきりになっていたのだ。


「俺、帰るから」


 そう言い、通学用のリュックを手にして席から立ち上がる。


「ねえ、ちょっと待って」


 その時、莉子から呼び止められた。


「ねえ、一緒に帰らない?」

「な、なんで?」


 教室を出ようとしたところで、教室に残っている彼女の方を振り返る。


「私、君に伝えたいことがあって」

「つ、伝えたいこと?」


 啓介は緊迫した顔を浮かべ、彼女の方を見つめる。

 どんな事を言われるのか、ヒヤヒヤしていたのだ。


「ねえ、私とキスしてくれない?」


 莉子は自身の口元に人差し指を当てながら求めてくる。


「え……⁉ ど、どうしたの急に?」

「じゃあ、私と付き合ってほしいんだけど。キスと、私と付き合うの。どっちがいい?」


 彼女が啓介の近くまでやって来た。


「そ、それは……」


 清楚系である莉子の口から放たれたセリフは、とんでもない二択だった。


 目先にいる莉子の存在に圧倒されながらも悩む。

 彼女とキスしてみたいという思いは以前からあったものの、いきなり過ぎてハードルが高すぎるのだ。


 気まずい気持ちや願望を抱きながら、啓介は彼女と付き合う方を選んだのであった。

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