テロリスト
遠藤
第1話
午前7時40分
高層ビルの高速エレベーター前には出社する人で溢れていた。
やがて1階に戻ってきたエレベーターに人々は乗り込んでいく。
その中に紛れてマコトも乗り込んだ。
エレベーターは定員ギリギリのギュウギュウ詰め状態の中扉が閉まると、上層階を目指し軽やかに滑り出し上昇していった。
乗っている人と人の距離は近く、身動きがとれないほどで否応無しにストレスが溜まっていく。
そのためほとんどの人が顔を上げ、階数表示を見つめながら早く着いてくれと願っていた。
その時だった。
一人の女性が声をあげる。
「・・・クサッ!」
ゴホゴホと咳をするもの、臭い臭いと連呼するもの、パニックにならないよう皆平静を保とうと必死になった。
早く着いてくれと願いながら開きボタンを連打するものも現れた。
「ポーン」
到着の音と同時に扉が開くと乗っていた人達は我先にとエレベーターを飛び出した。
その中に混じりマコトも降りると階段室を目指す。
階段室に入り階段を下りながら腕時計型無線機で通信を試みる。
「本部、こちらマコト。ミッション成功。スカシッ屁成功。現在退避中」
耳につけているイヤホンから本部アケミの声が聞こえてきた。
「こちら本部。了解です。ビル西側に車を待機中。最後まで気を抜かないように」
マコトが答える。
「了解」
マコトは1階に到着すると何食わぬ顔でビルを出て西側に待機していた車に乗って現場を離れた。
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