ひらがなに恋するマガモの歌【第2回カクヨム短歌•俳句コンテスト 短歌20首】

遠野歩

ひらがなに恋するマガモのうた

たんかすき?

わからないから

かぞえてる

たんたんたんか

たんたんたりた


ゆびおって

おくちぶつぶつ

たちどまり

とけいのはりは

まもなくすすむ


あめのひに

かさをわすれて

わらってる

きみとのじかん

いつもはればれ


あのひから

われのあゆみは

のろのろで

かたつむりさえ

おいぬいてゆく


ぱっちりと

あけたまぶたを

かっちりと

とじたるわれは

めそめそしない


あおいそら

なみさえみえず

ろうがんの

われのかわりに

ざわわうたう


ざわわとは

どんなおとなの?

なんとなく

がいこくじんに

なったきもちして


こめつぶほどの

ちいさきわれも

そのこらも

からだのなかに

そらをもってる


わらってるからわらう

そんなの

いやだ、

いやだったらいやだ


「おしゃれだね」

かっこつけてる

やつがいう

うんこみたいな

ぼうしかぶって


なべさんと

わたなべさんを

よぶように

たかはしさんを

はしさんとよぶ


たまごから

きついひとこと

いわれても

なんのことない

ゆでてしまえば


たまごでも

めがねはずして

かみあそばせば

げいのうじんの

だれかににてる


いいまちがい

あげあしとって

おどるやつ

あしをからめて

ひざじゅうじがため


「ありません」を

「ありまえん」と

うちまちがえた

あいつがくるぞ

おどってくるぞ!


あいがもと

ふつうのかもが

あいしあう

よくわからずに

もんくゆうやつ


わかいふたり

としおいたきみ

どちらも

あせず、いまここに

いきられるしあわせ


じっとみて

ぱっとひらいた

えがおなに?

きにしないでと

ねんおしされて


こおふぃーと

れもんこうちゃと

すぱげてえぃ

おみせやさんの

うみべのおかの


あなたなりの

ことばをふねに

のせたなら

こわがるなかれ

さあ、しゅっこうだ


(完)

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