第2話負けIX成橋心湊と、勝利と行間の想いⅠ

負けヒロイン請負人を長くやっていると見るに堪えない子を見る事がある。

それがこの子、成橋心湊なるはしここみ

この子は、本当に居た堪れない。

作品的に。一応メインヒロインの一人だが。

後から出て来た、主人公を好きなヒロインに出番を喰われてしまっている。

しかし彼もとい、主人公。山田卓真やまだたくまの大切な存在であるのは、変わらないのだがお互いがお互いを大事にし過ぎてそれに加えて幼なじみで友達の関係も壊したくなくて停滞しているのだ。

これは良くない。そこアタシの神への挑戦のGongゴングが鳴り響く。

一つ言って置くとするならアタシは、

別に負けヒロインに

不幸になって欲しい訳じゃない。

寧ろ幸せになって欲しいと思うので、

さぁショータイムだ。



「監督!!」

「何だい負田くん?」

「このマンガのヒロインで誰が一番可愛いと思います?」

「えー急だね」

「私は、

断然負けヒ⋯⋯⋯成橋心湊を推します!!」

「ボクは、佐東三葉さとうみつばかな?」

「やっぱりですか⋯⋯⋯」

「嗚呼そうだ、これ」

「なんですか?これ?」

監督に渡されたのは、原稿だった。表紙にデカデカと【初稿】だけ書いてある、何これ?

「さっき出来上がったばかりの原作者の

三﨑みさきさくら先生の円盤特典小説の初稿だよ、さくら先生が一番早くキミに見せたいそうだから」

「マジですか?こんな事って今まで生きてきた中でないんですが!?」

「監督は、目を通したんですか?」

「見てないよ」

「じゃあよろしくまたね」

「あ、はい」

原稿に目を通す、普段は活字を読まないが。

じっくり読んでみよう。それとなく脚本に難癖を付けるつもりだったが、

監督の事だ、それを見越しての事だろう。

どんな小説かな?



もしもシリーズ心湊ルート

卓真と心湊付き合ったら


あの入学式の日私は、小さい頃に結婚の約束をした少年と再会した。しかし彼の隣は、誰か居て私の事も覚えてないようだった。

だが今日わたしの18歳の誕生日の卒業式の日告白する!!

「山田くんちょっといいかな?」

「ん?何だ?」

「最後だからさ

言っておきたい事があって⋯⋯⋯」

「二人きりになれないかな?」

「?いいけど」

「じゃあ卒業式が終わったら中庭の桜の木近くのベンチで待ってるから」

「嗚呼」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る