八天王 ~宿命の討妖録~

初まりの妖

この世界は地上の他に三つの世界が存在する。

地上から見える雲より遥か高くに存在する世界。

────天界

神々や神に仕える天使達や天王が暮らしている。そして、そんな天界と繋がっているが本来は地上よりも下に存在する天界と似て非なる悪魔や妖怪が住んでおり、天界とは真逆の世界、魔界。

地上の他にこの三つの世界が存在する。

神々は地上の生物全てを制御し、繁栄させる力を持っていた。対して天王や天使達は神々に仕え地上で生物を監視し、時には魔物から神々を守っていた。

しかし、前述の力を使うには千年に一度選ばれし天王を一人生贄として捧げる必要があり、また、魔物の襲撃にあった場合には身代わりとして命を果たす定めがあった。つまり神々に命を捧げるための役目が八天王であった。

しかし、この時代の八天王はいずれもくせ者が揃っていた。神々の支配に嫌気がさしていた。八天王は神殺しを行い、神を滅することで自らは自由の身になれると信じ、魔界の妖怪や悪魔と協力することにした。

そして決行日、八天王は一斉に反旗を翻し天界と魔界の繋がる門を開けた。

魔界からはおびただしい数の妖怪や魔物が天界へ流れ込む。神々は抵抗し、天使達も神々を守るために力を尽くしだが、数で勝る天王軍におされ、敗走を繰り返す。

ついに、神々を追い詰めた天王は闇の天王によって魔界の最深部から見つけられた古代兵器を改造し造り上げた「神殺しの禁忌」で神々を一本の大きな樹木へと姿を変えさせ、九人の天王がそれぞれ一本の杭を樹に打ち付けた。これにより神々の力を封印することに成功した。

そして、火を放つことで樹を焼失させ、天王は悲願の神殺しに成功したのだ。

この戦いで生き延びた天使は地上へと落ち延びた。

天界を我が物とした天王たちは地上のことなど気にもせず、私利私欲を尽くし、天界及び世界は不安定な状態に陥ってしまった。

そして、世界の均衡が崩れ、地上には妖怪や魔物で溢れかえってしまった。