海へ行こうと思った。
綺麗な風景写真が撮りたい
第1話 『ひもじい』はイヤだ
海へ行こうと思った。
理由は簡単だ。
日々の食料の争奪戦に敗れて、常に『ひもじい』のだ。
『ひもじい』は辛いからイヤなのだ。
川は狭い、上流から食料が流れてくるが、大きいヤツ、強いヤツ、早いヤツが真っ先に食料を確保し、食べてしまう。
川で良い暮らしをするためには、真っ先に食料を確保して食べることが出来る、勝ち組にならなければいけないのだ。
でも、小さく弱くノロマなボクは、ヤツらに弾き飛ばされ、食料が少ししか確保できないし、運良く確保しても、すぐに横から奪われてしまうので、満足に食べることが中々出来ない。
悔しいが、これが現実なのだ。
そんなとき、ナマズ婆さんが、海に行ったヤツが居るって話をしてくれた。
そいつも、ひもじくて苦労していたらしい。
そいつは一大決心をして、海に行ってしまったが、何年かして、川に居る大きいヤツより何倍も大きく強くなり、『つがい』とともに川に戻って来て、沢山の子どもを残したのだそうだ。
うなぎ爺さんは、海で生まれたが、今はこの川で余生を過ごしているのだそうで、海は限りなく広く、川の水と違いしょっぱいが、食料が豊富だったと教えてくれた。
だが、海は川では考えられないほど巨大なヤツも居るし、凶暴なヤツも沢山居る、弱肉強食の競争世界で、とても危険な場所でもあったと忠告もしてくれた。
今も迷いはある。
川の方が海よりも安全なのは、ほぼ間違いないのだから・・・
でもボクは、今よりも良い暮らしが出来るかも知れない、今よりも満足に食べることが出来るかも知れない、だから、そんなわずかな可能性・希望を求めて、『海』を目指して行ってみることにしようと思ったのだ。
海へ行こうと思った。 綺麗な風景写真が撮りたい @ALICE1961
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