ホテル魔王城へようこそ

MIL:RYU

1泊 魔王任命

1日目 蚊帳の外に置かれてる

「今日この日から魔王の座を汝に継承する」

 

朝食の最中突然、魔王であり、父親であるリヴァイア=ジェミナイに告げられた。


「突然何言ってるんだよ!しかも柄にもなくかしこまった物言いでカッコつけちゃって!てか昨日まで普通に仕事して何のそぶりも見せなかったじゃん。てか俺に一言相談とかしろよ!」

「だから今言ってるんじゃん」

「そういうのは当日いきなりじゃなくてもっと前に言うもんだろ。てか今俺稼業継ぐ気ないし」

「おいおいカムイ何言ってるんだ、この国は初代から代々受け継がれてきた大切な祖国だぞ!俺の次はお前しかいないだろう」


カムイが生まれ育った国”ジェミナイ”は5000年ほど前に先代魔王の人柱であるキール=ジェミナイが建国し、それから代々キールの子孫たちが受け継いできた国である。カムイは一人っ子なので、リヴァイアが身を引けば自動的にカムイが次期魔王になるのだ。


「今はって話だ。そりゃもちろん父さんが引退すれば俺はなるけど、突然すぎるんだよ!」

「なんか問題があるのか?」

「…いやちょっとな」

「? まぁとにかく昼に継承式があるから絶対来い」

「いやだから俺今はやりたいことあるからならないよ、てかいきなり世代交代するって言われて国民や部下たちが納得するわけないでしょ、引継ぎの準備とかもあるんだろうし」

「通達はとっくに済ませてるぞ、2年前に」

「は~~~~!?どういうことだよ!そんなこと聞いてないぞ!」

「だって今初めて行ったんだもん」


2年間とてもとても大切なことを一度も言われていなかったカムイはどういうことなのか全くわからずというか、なぜ誰もそのことに触れてくれないか理解できず頭を抱えた。


「カムイが学園を卒業する前日に通達とそれの秘匿を命じたのだ。二年後の今日カムイ=ジェミナイが私の後を継ぐ次期魔王になると」

「それで外堀を完全に埋めて、俺にそのことを認知されないように裏で準備していたと、それも国中のみんなを巻き込んで…、ってレイとフウの二人も知ってるのか!?」


毎朝寝ている俺にボディープレスを噛ましてくるふたりだ来てないわけだ。


「あ~、あの二人には昨日知らせて、ちょっと頼み事があって朝から頑張ってもらってるからな。それからうちの国だけではないぞ、他の魔王や王国の王その他地位や名誉また名声を持つ者までたくさん人が知ってるぞ、てか今日来るし」

「ゔうぅ…あの人たち来るんですか」

「そりゃ当然だろ、今日からお前の同僚になるんだし、仲良くしろよ」

「できるわけないでしょ!!」


リヴァイアが言ってる同僚とは、この世界に12人いる魔王の事である。

カムイの同僚になるとはいっても、12人の中に序列があり、魔王の歴が数100年を越える者達もいるため、カムイにとっては格上の人たちなのであり、とても同僚とは呼び難いのである。

ちなみに、リヴァイアは500年魔王の座におり、現在の序列は1位である。カムイは新人であるので序列は12位になる。



季節は春。温かい風が吹く雲一つない晴れ渡った天気の中継承式は開催された。次期魔王の顔を一目見ようと魔族や人間を始めとする多種多様な種族の人たちが来ている。屋台や催し物などを開き商売する人などもおり、どこもかしこも賑わっている。


『只今より新魔王カムイ=ジェミナイの継承式を執り行います。早速ですがカムイ=ジェミナイの御登壇です』


ここから魔王カムイの物語が始まる。

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