異世界に転生したら,心の壁が見えるようになっていた。

水薦苅しなの

プロローグ

 「うんうん,そうだね」

 気のない返事をしながら,相手は,スマホに目を落としながら僕に共感しているふりをする。

 僕,円山涼は,大学に入ってから一度も信頼できると思う相手に出会ったことがない。入学の時に知り合った人たちは皆,疎遠になってしまった。

 目の前にいる人は,疎遠になりかけている人の一人だ。


 僕はこの先に広がる未来というものに絶望しか抱いていなかった。単位取得に必須の友達が全く作れていないからだ。これから先,どうしたらよいのだろうか。

 すでに出来上がってしまった人間関係という高い壁は,僕が越えるには大きすぎる気がする。


 ――だから,僕はこの生活に終止符を打つことにした。もうこんな生活していられない。僕はやはり生きるのには向いていないのだ!

 そうして僕は橋の下から飛び降りた。


 そのあとは何も覚えていない。


 ――目が覚めたら,僕はどこかの家の赤ちゃんに生まれ変わっていた。

 僕は,どうやら第二の人生を歩み始めたらしい。

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異世界に転生したら,心の壁が見えるようになっていた。 水薦苅しなの @Misuzukari_Shinano

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