第1部第2章 「冒険」の始まり?
第11話 目を覚ましたその場所は……
(うぅ……ここは?)
気がつくと、春風の目の前に真っ白な風景が現れた。
と言っても、そこは先程まで「地球の神々」といた真っ白な空間ではなく、白を基調とした、かなり立派な広い部屋の中のようで、春風自身はそこに倒れている形になっていた。
(確か俺、『エルード』って異世界に向かったんだよな?)
意識を取り戻したばかりの春風は、それまでの記憶を思い出しながら、ゆっくりと指から動かした。
(そうだ。
と、春風はそう疑問に思った後、ゆっくりと起き上がって周りを見回した。
そこには、「ルール無視の異世界召喚」によって教室から消えた、春風が心の中で「先生」と呼んだ女性とクラスメイト達がいて、当然その中には、
(いた、ユメちゃん!)
春風が教室で、「海神さん」「ユメちゃん」と呼んだ少女がいて、
(それに、
その傍には「天上さん」と呼んだ少女もいる。何故「天上さん」ではなく、心の中で「美羽さん」と呼んだのかについては後の話の中で語るとしよう。
そして、彼女達から少し離れた位置には、
(あ、
春風が「桜庭君」と呼んだ、教室で最初に挨拶を交わした少年もいた。こちらも何故「桜庭君」ではなく、心の中で「水音」と呼んだのかについても、後の話の中で語るとしよう。
とにかく、彼女達を含めて、女性とクラスメイト達は皆、自分達が置かれている状況に戸惑っているみたいだったが、春風はそんな彼女達の様子を見て、
(よかった、みんないる)
と、全員無事だというのがわかって、ホッと胸を撫で下ろした。
その時だ。
「ようこそおいでくださいました、勇者様方」
と、少女のものと思われる声でそんなセリフが聞こえたので、春風は「ん?」とその声がした方へと振り向くと、そこには物語とかに出てくる「お姫様」を思わせるような立派なドレスとアクセサリーに身を包んだ、1人の少女が立っていた。
その姿を見て、漸く
白を基調とした立派な広い部屋の中には、自分達以外にも多くの見たこともない衣服を着た者達がいて、左右の壁際には装飾が施された派手な西洋の鎧を纏った騎士(?)と、純白のローブを纏った人物が数人立っていた。
更に目の前にいる少女の背後には立派な椅子が4つあり、中央にあたる2つには王冠をかぶった威厳のありそうな男性と、穏やかな雰囲気をした女性が座っている。そして、その女性の隣の椅子には、春風達の目の前にいる少女よりも少し幼さを感じさせる少女が座っている。
最後にそんな男女達の斜め後ろには、ゲームとか物語に出てきそうな『偉い神官』を思わせる、白と青の法衣のような衣服に身を包んだ男性と、その男性の傍に数人の騎士(?)が立っていた。
クラスメイトの誰もが、目の前にいる少女に見惚れる中、
「あ、あの……あなたは? というか、ここは一体、何処なんですか?」
と、女性が戸惑っている様子でその少女に向かってそう尋ねると、
「ああ、申し遅れました。ここは『エルード』という名の世界で、皆様からすれば『異世界』と言えますね。そしてここは、その『エルード』に存在する国が1つ、『ルーセンティア王国』と言いまして、わたくしの名は、ルーセンティア王国第1王女、クラリッサ・リンダ・ルーセンティア申します」
と、その少女ーークラリッサは、自身を「王女」と名乗った。
その自己紹介を聞いて、女性とクラスメイト達が「ええっ!?」と驚く中、
(フーン。『勇者様方』、ねぇ……)
と、春風は周りにいる人達に気付かれないように、落ち着いた様子で心の中でそう呟くと、
(何が『勇者様方』だ! お前らの所為で、俺達の世界が……『地球』が大変な事になっちまったんだぞ!)
と、これまた周りにいる人達に気付かれないように、心の中で怒り込めて叫んだ後、目の前にいるクラリッサらをキッと睨み付けたが、すぐにハッとなって、
(い、いかんいかん、思わず睨み付けてしまった)
と、春風は首を横に振るい、ゆっくりと深呼吸して気持ちを落ち着かせた。
しかし、そんな春風の様子に気付かずに、クラリッサは話を続ける。
「それでは勇者様方、これより皆様をこの世界に召喚した詳しい経緯を、こちらにいるわたくしの父にして、ルーセンティア王国の国王、ウィルフレッド陛下がお話しします」
そう言うと、クラリッサはその場から離れて、後ろにいる王冠をかぶった男性の隣にある立派な椅子に座った。
春風はそれを確認すると、
(さて、いよいよ
と、しっかりと相手の話を聞こうと、クラリッサの隣りに座る男性に視線を向けた。
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どうも、ハヤテです。
という訳で、本日から本編新章の開始となります。
異世界「エルード」に着いた春風君に、一体どのような出来事が待ち受けているのか?
彼の活躍に、ご期待ください。
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