午前三時半の夢日記〜ニーナとキキのお話〜

花火仁子

午前三時半の夢日記〜ニーナとキキのお話〜

 切ない夢をみて、目を覚ました、午前三時半。

 ベッドから降りて、気持ちを落ち着かせようと、一服する。

 それでも、落ち着かなかったので、ここに記すことにした。

 



 


 数年前、ニーナ(仮名)とキキ(仮名)は、あやふやな関係でした。

 ある日、ニーナは久しぶりにキキの家へ行き、キキと会えて喜びます。

 キキは「最近あまり眠れなくてきつい」と弱音を吐きます。

 キキの目の下にはくっきりとくまができていて、きつそうな顔をしていて、目の輝きがなくなっていました。


 ニーナはキキに尋ねます。

「なにかかなしいことでもあって、眠れないの?それとも病気のせい?」

 すると、キキはこう答えました。

「恋人と一緒に居るのが楽しくて楽しくて、朝まで会話をしたり、ゲームをしたりして、眠る時間があまりないんだ」


 ニーナはキキに恋人がいることを知っていました。

 ニーナは心配したことを少しだけ後悔し、でも、キキが眠れない理由がかなしいことがあったからじゃなかったので、安心する気持ちもありました。

 ですが、少しの時間が経った頃、ニーナはこらえきれなくなって、泣きだしてしまいます。


 ニーナの涙は、切なさから怒りに変わって、キキにあたってしまいました。

 キキはニーナをなだめるために、限られたところにしか売っていない、ニーナの好きなお菓子を棚から取り出し渡します。

 ニーナはこれ以上面倒くさい女にはなりたくなかったので、キキからお菓子を受け取って、機嫌がなおったふりをしました。

 ニーナはキキに、ありがとうとごめんねを伝えようとしますが、

「ありが……」

 言い終わる前に、玄関のチャイムがなりました。


 キキはニーナそっちのけで、急いで玄関へと向かいます。

 キキの姿が見えなくなって、ニーナは不安になると同時に、嫌な予感がしました。


 ニーナのもとへ戻ってくる足音はふたつあって、キキの足音と、もうひとつは誰かの足音でした。

 ニーナは俯いていた顔をあげました。

 するとそこには、キキとキキの恋人がいました。

 ふたりは手を繋いでいました。

 キキの目は、キラキラしていました。


 ニーナはかなしいとか、怒りとか、切なさとか、どれにも当てはまらない感情になって、キキにお菓子を投げつけ、キキの家から飛び出しました。


 もちろんキキはニーナを追いかけてきませんでした。

 



 


 ……ここで目が覚めました。




 ニーナは私で、キキは私が昔好きだった人。


 こんな夢をみて、私の心は乱れてしまったけれど、ここに記しているうちに、落ち着きを取り戻しつつある。


 夢の正体って、なんなんだろうね。


 ご静聴、ありがとうございました。

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