第4話 空族園(プミタスグリ)入園




「ききき君達はあああああああのベレクテア氏族だろう。」


同じ年ぐらいの少年が話し掛けてくる。


「えええええ本当、あの英雄ミリスタ ベレクテア夫婦の一族なの。」


「そそそそそれじゃ、この子が英雄の子でリット氏族長の弟なの?」


「なななななんでみみみみみんな言葉に詰まっているの?」


赤毛のツインテールの子が目をキラキラさせている。


「みんなの憧れなのよ。知らないの?」


耳の尖ったエルフの女の子がゼデの顔を覗き込んで言う。


「意外と自分の家族のことは知らないものなのかも?家でも全然自慢しないお兄様って素敵だわ。」


「ちょっと近いわよ。」


エルフを押し除けてツインテールがゼデの両肩に手を乗せる。


「この弟ちゃんかわいいわ。」


「にゃ、にゃめろー。」


ツインテールとゼデの間にナイクが頭を突っ込んでくる。


猫耳がぴこぴこしてかわいい。


咄嗟に助けようとしたんだろうけどなんか変だよ。


ナイクのほっぺゼデのほっぺにくっついちゃってるし。


うーむ、積極的だ。


「あ、あれぼぼ僕にゃにゃにゃ何を。」


ナイク真っ赤だよ、焦りすぎ。


「あーははは、何この子かわいい。」


ツインテールがナイクを抱きしめて笑う。


うん、ナイクはかわいい。

びっくりしてナイクのしっぽがぴーんってなっている。


「おまえらバカじゃないのか親や兄弟がすごいからってこいつがすごいわけじゃないだろう?」


キリッとした男前風の男の子が不満そうだ。


「マチスってばそんな事みんなわかってるわ。」


「そうだよ、プミタスはみんな勇者みたいなもんだから血筋での特別感なんて何にもないし。あんただって伝説の大魔法師の子じゃないの。」


「そうだエルテだって剣聖の娘だし、ナイクも大賢者の娘だもんね。」


「だからといって私が剣聖ってわけじゃなくてジョブは錬金術師だから血統なんて関係ないわ。」


「でも、興味はあるじゃない、どんな子だろうって、うふふ。」


ツインテールはエルテって言う名前のようだ。


他の小島の子とは空族学園(プミタスグリ)に通うようになるまではあまり会う機会がない。


自分で 受風航機(セルタ)が扱える様になったからこれからは変わっていくかも。


たくさんの子供達がきゃあきゃあと騒いでいる。


あちこちの島から集まった、これからのプミタスを支える子供達の初顔合わせだ。


急ぐことはない。

教師は彼らが静まるのをゆっくりと待つ。


プミタスグリに来てゼデの世界は急に広くなったようだ。

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