第13話 カトリーナ女王様
駅ではパタパタと、フラップ式に文字が次々入れ替わり、目的地を指し示した。
蒸気機関車は、中の空間は広くなく、普通だった。それでも一等車に乗ることができた。
汽車は加速しだすと、異様に速く、普通の汽車の速度の何十倍もあった。一瞬で景色が後ろに過ぎ去る。少し怖いくらいはやい。
そんな高速だからすぐに目的地に着いた。
駅を出る、街はかなり賑わっている。町中の軒先から赤い垂れ幕が掛かっていた。
何かあったのだろうか。マルセルは、適当に人形に話しかけた。
「え、知らないのカトリーナ女王様の復活祭だよ」
「復活祭?」
「知らないの? 旅人? どんだけ田舎から来たの」
なぜか少し腹が立ついい方されたが、マルセルは丁寧に感謝し、街を散策した。
復活祭、復活……マルセルは自分が目覚めた時が復活だったのではないか。と行き着いたが。確かめようがない、きっと聞いたら変人だろう。そう思うと、マルセルはわざわざ人に聞く気が起こらなかった。
どこにあるのかも、わからない鐘の音がくぐもって、ぼーんぼーんと聞こえた。鐘を数えるに、時刻は午後15時。
そろそろホテルを取らねばならない。霧迷宮対策だ。
ホテルを適当に取る、機械が定型文を紙に出力する、それに対し紙に穴を開けて返す。不思議なやりとりをした。曰く客室が無限にあることが魅力らしい。
定型文しか出力出来なそうな機械に、カトリーナ女王様を聞いても無駄だろう。再び街に散策しに行くことにした。
マルセルは復活式に興味津々で街中を散策していた。
新聞をもらい、部屋でゆっくり読むことにした。
新聞の一面は、カトリーナ女王の復活式だらけだった。曰くカトリーナ女王は、復活祭でエルドリ大聖堂で復活し、街中をパレードし、カントリ城に向かうようだ。かなり豪華な式らしい。
日時は明日。マルセルは旅を急がずに復活式を見てきよう。そう思った。
朝になった、ホテルの部屋が変わってるなんて事もなく、安心した。
マルセルはホテルを出た。式までまだ時間はありそうだが、マルセルは早めに向かった、要は場所取り出だ。
大広場は既に人で満ちていた。向かい側のエルドリ大聖のふもとは見えない。きっとパレードはよく見えないだろう。望遠鏡でも持ってきて、どこか高台を取れば良かったなと、少し後悔した。
鐘の音が、喧騒に満ちた街の上を駆け巡るのと同時に、ラッパの音も響き出した。見えないが近衛兵が鳴らしているのだろう。ジャジャ、と規則正しい足音が聞こえた。
パレードの隊列は、殆どが機械で構成されていた。普段見ない象の機械が歩いたりしていた。マルセルには少し象が見えたくらいだったが、雰囲気を楽しめ、なかなか満足だった。
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