第22話
少々はしたないが、ベッドの上で時折食事を摂りながら、他愛のない話を続けていると、だんだんと眠くなってきた。私が。
「社交界の場でお疲れのご様子ですし、一度ここで眠ってはいかがですか?」
「ん……いや、まだパーティは続いていますし……」
「大丈夫ですよ。まだまだパーティの時間はありますから」
「………それでは、お言葉に甘えさせていただきます……」
睡魔が限界となっていた私は、ベッドに横たわり、目を閉じた。
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<キラズside>
キュリズ様がしっかりと眠っているかを確認する。食事の中にコッソリと入れておいた睡眠薬が効果を発揮してくれたらしいですわね。
深い眠りを誘う睡眠薬……流石にママとパパにそんな物を頼むなんてダメですから、私のお小遣いの大半が消えましたが、それ相応の効果はあったということ……
できれば既成事実を作りたい所ですが、そんなことをしてしまってはキュリズ様を起こしてしまうかもしれませんし、私の想いとしてはキュリズ様も私のことをそれなりに意識をしている状態であって欲しいので……最近は、私のことを悪しからず思っているようですから、後一押しぐらいでしょうか?
さて、私の目的を果たしましょうか……
私が睡眠薬を使ったのは、段々と気持ちの昂りが抑えきれなくなってきたからですわ。
タキシードを完璧に着こなすあの姿………! 蠅どもがたかるのも分かりますわ。あんなのを見せられたら惚れるしかないですもの!
それに私をエスコートしてくださいましたし、腕組みまで許していただき……!
思い出しただけで幸福感が体を染め上げますわ。
「はぁ………」
キュリズ様。こんなことをしてしまう私をどうかお許しくださいませ。
ゆっくりと、起こさないようにキュリズ様の上に跨る。
唐突に重さがかかると起こしてしまうかもしれないため、腰を少し浮かしながら、私はその穏やかな寝顔にキスをした。
唇、頬、眉間、耳にまで、私のものだと主張する為に、キスを繰り返す。
起こさないようにゆっくりと、けれど、たくさん、たくさんキスをする。
少しだけ服を脱がせると、鎖骨が見える。キスをした後、柔らかく噛む。
鎖骨は、誰にも見えない位置。服をしっかりと着れば誰にも見られることはない。なら、キスマークをつけても良いのではないか。甘美な囁きが聞こえる。その囁きに身を任せようとして、
思いとどまった。
キュリズ様にキスマークをつける為に何度も練習しましたが、必ず鋭い痛みがあることを私は知っている。
もし起きてしまったら、私が彼を好きにできる時間がなくなってしまう。
仕方なく、柔らかいキスを鎖骨にする。
何度もキスをすると、柔らかくだけでは物足りなくなってきてしまう。もっと、深く口付けをしたい。醜い欲望が体の中を渦巻き、それを行動に移してしまう。
「んっ……! んむっ……!」
口内に私の舌を入れ、キュリズ様の舌と触れ合う。少しだけ触れ合うつもりが、欲望は際限なく溢れ、さらに次をと求めてしまう。
何度か触れては口を離し、呼吸をするけれども、上手くいかず、息が乱れる。
けれどもまた、彼を求めてキスをする。
呼吸もせず、ただ、自分自身が求めるがままに深いキスをする。
どれくらいしていたのかは分からない。長い時間していたようで、キュリズ様が寝苦しそうに唸っている。
慌てて顔を離し、自分の唇に触れる。
甘い。やっぱり、甘い。今まで食べてきたどんな甘味よりも甘く、魅力的なキュリズ様の唇……その身も心も、全て私のものにしてしまいたい。誰にも見せず、私だけのものとして、ずっと監視していたい。
息が整い、キュリズ様も起きる気配はない。
なら、もう一度……
唇が触れ合う直前に、バタンと音がした。
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遅くなってしまい申し訳ございません!
もう少し早くできるように頑張ります!
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