第4話
現状確認も終わったし、これからを考えようか。
取り敢えず、王子サマの真似をしておくとして………
長期的目標としては誰かに王位を押し付けること。私が死んだりしたらそれは可能だけど、当然却下。まぁ死なないように頑張るのが目標だね。
短期的には…………あれ? 私って何すれば良いんだ? 正直、王族としての自覚なんて記憶の彼方だし。民を導くつっても、私がその民って呼ばれる側だし。そもそも王子サマの時から民を導く自覚は無かったようなものらしいけどね。
んーっとそれはともかく、目標……目標………思い付かないね!
まぁ、婚約者から逃げる! これにしておこう。私は女性と結婚なんてしたくないからね。
あー眠い………頭を使いすぎたのか、段々と眠くなって来た。
寝るかー……うつらうつらと舟を漕ぐ。現状確認をしてから体感1時間ぐらいなのにもう眠くなるとは………まぁいいや。おやすみなさいぃ………
んぅ……? なんかゴソゴソ聞こえる……?
ねむ………えーっと、電気……はこの時代無いのか。中に蝋燭を入れるランプなら有るけど……
「ふわぁ………」
ちょっと欠伸でちゃったけど誰もいないし良いよね?
「ふふふっ。可愛らしい欠伸ですわね?」
うぇっ?
「キラズ公爵令嬢!?」
「もうっ!プライベートな場なのですから、キラズとお呼びになってくださいまし?」
「いや、何故貴女がここに?」
「大したことではありませんわ」
いやいやいや、え? 私がおかしいの?
「ええっと………夜這い?」
「そんなお下品な言葉を使わないで? そうですわね…………同衾、と言った方が正しいですわ」
同衾って……えぇ? 大して意味変わんないじゃん………
「あら? ああ、違いますわよ? ただ、一緒に寝たいと言っているだけですから」
「え、あ、そういうこと?」
てっきり違う意味で捉えちゃったじゃん恥ずかしい………
「ふふっ……言葉に険がなくなってきてますわね」
「えっ、あ…………」
「
「む……いや、やめておくよ。身内でない者にこのような態度は良くない」
「あら? これから身内になるのですから、そのようなことは考えなくてもよろしくてよ?」
いや、君と結婚する気ないから………
「それよりも、何故来たのだ? 今までそんなことは無かったはずだが…………」
王子サマの記憶を掬ってみても、キラズ・バランが夜這いに来るようなことはなかった。
あったら対策している。
「ふふふ………実はボタン様からは元から許可を得ていましたわ。なので、今までも来ようと思えば来れたのですよ?」
ちょぉい!? え?
ボタンさん???
なに夜這いの許可出しちゃってんのよ!? いやまぁ理由は分かるけどね!? どうせ私達との仲を深めようとさせたのは分かるけどさ!
これが中世。前世では未成年と言える歳でも夜這いが許可されるのかぁ………キラズの年齢は確か………15だったかな? 王子サマの3つ下って記憶があるし。
それはともかくとして………
「なら、何故今なのだ?」
「それはですね……キュリズ様が
心を開いた……?
ああ。あの、感謝した時のやつか。
ええ……? あれで??
好感度調整って難しいわー
「んふふっ。ねぇ、キュリズ様。一緒に寝てくださらない?」
うぐっ……可愛い顔と、あざとさたっぷりの声と、完璧な上目遣いはズルい………
この顔はどちらかと言えば妹って感じだ。おねだりをしてくる妹。妹の頼みなら………聞いちゃうよね!
「はぁ……仕方ない。今回だけだぞ?」
「はいっ!」
乙女の顔だ…………
先程の聞いてあげたくなるような妹の顔から
一変、乙女の顔となっている……
若干狼の顔が見え隠れしていてどうしようもない不安が今更ながら込み上げて来たんだけど………どうしようか?
諦めるしかない? そうだよねぇ………
うん、まぁ、許可しちゃったんだし、大人しく一緒に寝ようか……
一時の気の迷いでこんなことになるなんて………まぁ人生なんてそんなものか。
ちょっとしたことが大きな事に繋がるなんて日常茶飯事だしね。社会人の経験がそう言ってる。
明日、何も起こっていないことを祈って…………
おやすみなさい
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