恋する中学生は、白い豆腐だ!ママレードに包まれたい!でも、ケチャップは~

冒険者たちのぽかぽか酒場

第1話 中学生のファンタジーは、恋して疲れた豆腐のように…

恋する中学生は、豆腐のように白く疲れている。

「どうしたの?顔、白くない?」

好きな女子にまで、心配され。

その日から、彼のあだ名は「豆腐」。

「失礼しまあす」

今日も、いつものように、学校の職員室の中に入った彼。

の、はずなのに~?

中学3年生の彼は、強い上級生らしくなくボーゼン…。

あたりを見渡せば、水を張った水そうかと思えるほど大きな容器が並べられ、食事どきで見るあの白いかたまりがいくつも沈められていた。

「豆腐…?ここって、豆腐工場?」

学生服を着たまま、立ちすくむ。スマホだけを、手にして。

あたりに、人のいる気配はない。

現代ファンタジーな思春期は、孤独。

「ケチャップおばさん」の言葉が、思い出される。

「ケチャップおばさん」というのは、クラスメイトたちが、こっそりとクラス担任に付けたあだ名。

マイケチャップなる物を持ってきては、給食のどんなおかずにもそれをかけて食べる先生なので、そう呼ばれはじめた。

「生徒の皆さん?中学生活は、悩みの連続でしょう?1年後、2年後、3年後の自分はどうなっているんだろうと、ケチャップで書いてみると良いですよ?自身を見つめ直すことが、できるでしょう」

…ケチャップで?

…ケチャップで?

学校の先生も、疲れているんだ。

こうも、言っていたっけ。

「生徒の皆さん?スマホで撮った写真のデータを、見返してみませんか?素の気持ちを、再発見できるかもしれません」

大切にしているものを、整理してみなさいということか。

「それから…。中学生は、自由なケチャップで良いと思うんです。どうするべきかというより、こうなりたい自分自身を発見できるようになってください」

その言葉を思い出し、写真が保存されているスマホのアルバムを開いてみた。

…と、瞬間!

彼の身体が、豆腐工場から職員室に入る前に戻される。

「あ!」

1枚の写真に、釘付け。

「給食に出た豆腐に、好きな女子が、家から持ってきたママレードをかける姿」

そんな写真まで、保存していたとは。

「担任みたいで、なえる」

と、思いきや…。

「あの豆腐になりたい!」

ケチャップの教え、「こうなりたいの自分」が見えてきた。

中学生の青春は、恋にSF的に謎だらけ。

がんばれ、中学生!

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